東海汽船ジェットフォイル20年 東京と島を近くした「飛ぶ船」の恩恵 進む老朽化

「伊豆諸島がより身近に」現場の声

 東海汽船は取材に対し「夜行船を敬遠していた家族連れや若い女性旅が増えました。この頃、そのほかにも客船2等の全席指定席化や客船のスリム化、子会社の分社化など一気に改革が進んでいました」と当時を振り返っています。

 またスタッフからは、「高速航行の操船に慣れるのに苦労しながらも、他の船を追い抜いてく光景に感動を覚えた」「従来の船の構造とは大きく異なっていたため、整備に膨大な時間を要した」といったエピソードや、「実際に乗船頂いたお客さまの声を聞く中で、伊豆諸島がより身近になったことを強く実感した」といった、現場ならではのコメントも聞くことができました。

なんと25年ぶりの新造「セブンアイランド結」

 2020年6月、川崎重工が25年ぶりに建造した新造ジェットフォイルが東海汽船に引き渡されました。「セブンアイランド結」(176総トン)と名付けられた藍色のジェット船は、先に就航した貨客船「さるびあ丸」(3代目、6099総トン)とともに、創立130年を迎えた東海汽船の象徴となっています。

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2020年に竣工した「セブンアイランド結」。東海汽船初の新造ジェットフォイル(深水千翔撮影)。

 東海汽船は2013(平成25)年に「セブンアイランド友」(1989年竣工)を、2015年には「セブンアイランド夢」の代替として「セブンアイランド大漁」(1994年竣工)を就航させ、以降は4隻体制で運航を行ってきました。一方で老朽化した「セブンアイランド虹」の代替時期が迫ってきたことから、新造船の計画がスタートすることになります。

 そこでネックとなったのが50億円を超える高額な船価です。

 1隻だけでは費用の兼ね合いから建造が難しく、当初はジェットフォイルを所有する他社と連携して建造に向けて注力したものの、折り合いがつかず難航することになります。川崎重工もこのタイミングで建造しないと、当時建造に携わっていた技術者がいなくなり、ジェットフォイルの技術が伝承できないという深刻な状況でした。

 東海汽船はジェット船の新造に向け、東京都から船価の45%に当たる23億円の建造補助を得つつ、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の共有建造制度を活用。エンジンは従来のものを流用するなどしてコストを抑え、ようやく費用面での見通しが立ち、1隻での建造にこぎつけました。

【実は魚っぽい?】ジェットフォイルの「腹」ほか 写真で見る

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コメント

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3件のコメント

  1. 航空機のようにオリックスなどリース会社を通してリースする方がいいかなとおもいました。

  2. 国産1号のぎんが(?)を代替せずまだ運行してる佐渡汽船もあるし、そろそろ財政等融資とかで全国一斉置き換えをするべきじゃないのかな。大量のロットを入れて価格も下げられて。いいこと尽くしだと思うんだけど

  3. 伊豆大島へ行くのに、年に何度か利用させて頂いてます。
    ホントに便利。同じ東京とは思えないレイドバック感を半日で感じることが出来る。
    かつては、今治発のジェットフォイルにも乗った事がありました。伊豆大島までと違って、無人島が多いので速さの体感がジェットコースターのようだった。
    いつかはトッピーで屋久島や、佐渡島にも行ってみたい。

    旅の楽しさとは別に、あの速さは救急にも使える筈。無くしてほしくありません。
    これだけの補助金を貰わないと、東海汽船でも厳しいのか。