東海汽船ジェットフォイル20年 東京と島を近くした「飛ぶ船」の恩恵 進む老朽化

離島の欠かせない足。今後はどうなる。

 ジェットフォイルは現在、東海汽船をはじめ佐渡汽船や種子屋久高速船などの国内航路で18隻が活躍しています。「セブンアイランド結」を除き、いずれも竣工から20年以上が経過した老朽船でリプレイスが課題となっています。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で旅客航路はいずれも経営が厳しく、新造船の建造まで踏み込めるかは不透明な状態です。

 JRTTではジェットフォイルの建造を支援するため、共有建造において、共有期間を通常(軽合金船)の9年から最長15年へ延長するなど制度を拡充するとともに、2020年度からは共有比率の上限を、一定の条件のもと70%まで引き上げました。

 川崎重工もジェットフォイルの建造技術を維持するためには継続的な建造が必要としており、新しい技術を取り入れながら、エンジンを新しくするなどアップデートを図り、今後も事業を続けていく方針を示しています。

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就航したばかりの「セブンアイランド結」と引退した「セブンアイランド虹」の同時出港。2020年7月16日(深水千翔撮影)。

 東海汽船のジェット船で最古参の「セブンアイランド愛」は建造から40年以上が経過し、代替船が必要となる時期に差し掛かっています。同社は国や都へ、建造に向けて協力を働き掛けています。

 伊豆諸島はいつ起きるかわからない自然災害と隣り合わせの環境にあります。各島で少子高齢化が急速に進んでいるなか、高速多頻度輸送ができるジェット船は、避難や緊急時にも有用な交通手段であり、東海汽船も「必要性を日々強く感じている」といいます。

【了】

【実は魚っぽい?】ジェットフォイルの「腹」ほか 写真で見る

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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コメント

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3件のコメント

  1. 航空機のようにオリックスなどリース会社を通してリースする方がいいかなとおもいました。

  2. 国産1号のぎんが(?)を代替せずまだ運行してる佐渡汽船もあるし、そろそろ財政等融資とかで全国一斉置き換えをするべきじゃないのかな。大量のロットを入れて価格も下げられて。いいこと尽くしだと思うんだけど

  3. 伊豆大島へ行くのに、年に何度か利用させて頂いてます。
    ホントに便利。同じ東京とは思えないレイドバック感を半日で感じることが出来る。
    かつては、今治発のジェットフォイルにも乗った事がありました。伊豆大島までと違って、無人島が多いので速さの体感がジェットコースターのようだった。
    いつかはトッピーで屋久島や、佐渡島にも行ってみたい。

    旅の楽しさとは別に、あの速さは救急にも使える筈。無くしてほしくありません。
    これだけの補助金を貰わないと、東海汽船でも厳しいのか。