「日本軍が上陸してくるぞ!」スピルバーグ作品の元ネタにもなった米本土パニック事件の顛末

太平洋戦争の初頭、ハワイ真珠湾攻撃を成功させ勢いに乗った日本は、アメリカ沿岸に潜水艦を派遣し、西海岸を何度も攻撃しました。そこで起こった一連の出来事は時を経てスピルバーグ監督の映画にもなっています。

UFO? 真夜中のLAに現れた多数の「謎の飛行物体」

 1942(昭和17)年2月25日午前2時過ぎ、アメリカ陸軍の防空レーダーがロサンゼルスに接近する飛行物体を探知します。前夜に伊17潜水艦の砲撃があったばかりだったため、今度は日本軍が航空攻撃を仕掛けてきたと緊張が広まり、ただちに空襲警報が発令されました。

 アメリカ陸軍の戦闘機が迎撃準備を始めるなか、飛行物体はいったんレーダーから消えます。ところが軍には海岸付近で目撃された航空機の情報が寄せられ、ロサンゼルス上空でも複数の航空機が飛来しているという報告が集まりました。

 午前3時過ぎ、灯火管制の敷かれたロサンゼルス市内で、対空砲の射撃がおよそ1時間にわたって行われました。このとき発射された砲弾は1433発にのぼり、街に降り注いだ砲弾の破片で家屋や自動車に被害が続出、自動車事故と心臓発作で5名の死者まで出ています。

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1942年当時のロサンゼルス市街の様子(画像:アメリカ議会図書館)。

 その結果、26日の地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」には、サーチライトに照らされた複数の発光体と被害の様子が写真とともに掲載され、センセーショナルに報じられました。これに対してアメリカ海軍は直ちに記者会見を開き、事件を誤報だと発表。一方、実際に砲撃をした陸軍は敵の謀略だという内容の声明を出したのです。

 結局、真相究明は後回しにされ、戦後になってからアメリカ空軍が出した結論では、当時、陸軍が飛ばしていた観測用の気球を誤認したことが事件の発端だとされています。

 ただ、このふたつの事件をきっかけに、アメリカ本土の防衛体制は強化されました。

 ルーズベルト大統領(当時)は事件の1週間前、国防上に問題がある外国人を隔離する大統領令に署名しており、事件をきっかけに日系アメリカ人の強制収容が本格化していきます。

【写真】日本軍機か? UFOか?現地新聞が報じた「謎の発行体」ほか

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