信州「高遠駅」無人化 70年前から鉄道なくても“駅” 背景にあった鉄道計画とは

「高遠桜」の満開目前に駅は無人化 実は新宿でも見られる?

 桜の名所として知られる高遠城址公園では、毎年4月に「高遠さくらまつり」が開催され、JRバス高遠線もこの時ばかりは年1回の掻き入れ時。それに加えて期間中は、駅と城址公園を結ぶバスなども運行されます。約2km四方にわたって広がる城跡の山一面に咲き乱れる桜は、見事という他はありません。

 また閑静な城下町も見どころです。農地が狭い高遠藩は商業・交易に力を入れていたこともあり、白漆喰の壁や格子戸などがそのまま残る旧・池上家屋敷などの商家も高遠駅近くに残っています。

 高遠藩は石高こそ3万石と小規模ですが、1691(元禄4)年に入封した内藤家は、徳川家康が関東に移封した際、直々に内屋敷の用地(後の内藤新宿、現在の新宿御苑)を賜るほどに信頼が厚く、歴代の藩主は内政の重要な職を担うこともありました。「内藤新宿」の縁もあって、この地に多く群生している固有種「高遠桜」(タカトオコヒガンザクラ)は新宿御苑に植え替えられ、今年も変わらず庭園を彩り続けています。

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高遠城址から一望する高遠の街並み。高遠駅は中央の道路の奥にある(宮武和多哉撮影)。

 2022年の高遠における高遠桜の開花予想は4月第1週頃とされています。3月下旬に筆者(宮武和多哉:旅行・乗り物ライター)が訪れた際、高遠駅の窓口の方も発券しながら「せめてあと何日か(満開の頃まで)いさせてくれればいいのにねぇ……」と名残惜しそう話していました。

 桜の開花を待たずに、高遠駅は無人駅となりますが、4月1日以降も待合所はこれまで通り利用でき、観光案内所としての機能はJA上伊那・高遠支所に引き継がれます。

【了】

【鉄道なくても70年“駅”】「高遠駅」の様子 画像で見る

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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コメント

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1件のコメント

  1. こちら鉄道や旅ライターの宮武さんへの高遠の桜とJRバス駅の高遠駅の記事へのコメントでよかったでしょうか?
     私は鉄道ファンで乗り鉄や一部乗りバスをしている者です。
     バス駅の高遠駅が無人化されるとは残念です。しかし高遠の桜はホントに見事ですよね。 
     私も以前、桜の時期に高遠に行ったことを思い出しながら楽しく記事を読みました。
     記事のアップ、ありがとうです。