元祖「トモダチ作戦」自衛隊×米軍が救った伊勢湾台風の地獄 戦後屈指のヘリオペレーション

太平洋戦争後の自然災害として、東日本大震災や阪神淡路大震災に次ぐ犠牲者数を出した伊勢湾台風。当時はまだ警察や消防などにヘリがなかったため、自衛隊と米軍が頼りでした。戦後屈指の救助活動について振り返ります。

米軍、ヘリオペレーションを自衛隊に全委託

 自衛隊に続いてアメリカ陸海空軍と海兵隊のヘリコプターも参加します。機種はシコルスキーH-34やパイアセッキH-21B、パイアセッキHUPなどで、たまたま名古屋に寄港中だった海軍のエセックス級空母「キアサージ」がアメリカ軍の中心的な役割を果たしたようです。

 驚くことにアメリカ軍は、約20機のヘリすべてを「日本で使ってくれ」とばかりに自衛隊の指揮下に預けます。そこで当時、小牧基地に所在していた航空自衛隊第3航空団の副司令が指揮官となり、英語が堪能な航空自衛隊ジェット戦闘機パイロットが通訳としてアメリカ軍ヘリコプターに同乗する形で、日米共同での救助活動が実施されました。

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高波と台風で冠水した当時の三重県内の様子(画像:三重県)。

 なかでも特筆すべきは孤立地域の集団避難です。長期間にわたり水が引かない地域の住民を避難させるというこの「作戦」に、日米合わせて40機のヘリと海上自衛隊の揚陸艇などが参加。10月2日から4日にかけて7000名もの被災者を救出しています。これら自衛隊の災害派遣は同年12月中旬まで続きました。

 自衛隊のヘリコプターを使った救助活動は、「1年分の作業を1週間でおこなった」と形容されるほど大変なものでした。ただ、その結果、当時の記録映像や報道写真には自衛隊とアメリカ軍のヘリコプターが大きく映し出されており、貢献度の高さが伺えます。

 そのなかで、ある部隊では、自費で買ったお菓子を子供に配るために繰り返し飛行したと言い伝えられています。アメリカ軍でも「子供が気の毒で見ていられない」とお菓子を買おうとしたもののドルでは買えず、義援金を寄付するシーンが記録されていました。

 時代が違っても、困っている人に手を差し伸べようとする気持ちに変わりはないのでしょう。災害大国である日本。もしもの時の備えと助けてくれる「トモダチ」は大事にしたいものと、改めて筆者(リタイ屋の梅:メカミリイラストレーター)は思います。

【了】

※一部修正しました(4月5日22時00分)。

【米軍の貴重写真も】伊勢湾台風で救助活動に従事する自衛隊員ほか

Writer:

1967年生まれ。「昭和30~40年代の自衛隊と日本の民間航空」を中心に、ミリタリーと乗りもののイラスト解説同人誌を描き続ける。戦後日本史も研究中。

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