乗客減/支援終了/原油高の三重苦 バス業界22年度を占う 危機感持つべき「大都市郊外」

「私鉄さんにお任せ」が崩れる大都市近郊

 地方部で、手探りしながらも自治体が地域交通に責任を認識し、補助金を出す方も受け取る方もそのノウハウが蓄積されてきたのと対照的に、大都市郊外では、自治体も地域住民も「私鉄さんにお任せ」という雰囲気です。当の私鉄グループも「沿線の交通は任せろ」という意気込みでしたが、多くの路線で赤字が定着すると、そうもいきません。

 黒字経営を前提としていた路線の赤字化が進む大都市郊外で、路線バス網をどう維持するかが今後の課題になりそうです。大都市郊外は、高度成長期からバブル期にかけ人口が急増した分、高齢化も急速に進むからなおさらです。

高速バスは一部回復、一部はダメ 期待できるところは?

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空港連絡の高速バスは航空需要にも左右される(中島洋平撮影)。

 次に高速バス分野の需要回復は「まだら模様」です。高速バスは従来、「地方の人の大都市への足」として成長しました。地方から大都市へ、出張や都市部でのショッピング、コンサートなど様々な目的の流動が、また逆方向では帰省利用もあり、年間を通して安定した需要がありました。

 その中では、帰省需要が先行して回復しています。コンサートやテーマパークへの移動も、制限緩和により回復するでしょう。そういった個人需要に比べ、ビジネス出張は完全には回復しない恐れがあります。片道200km以下の、高頻度運行する昼行路線は出張の利用が多かっただけに心配です。

 逆に需要を十分に取り込めていなかった大都市発の観光客ですが、日帰り可能な、1か所完結型の観光地への路線が比較的好調です。御殿場などのアウトレットモールや東京ディズニーリゾートへ、津田沼や相模大野といった郊外から直行する新路線が相次いでいます。22年秋には、関越道花園IC(埼玉県深谷市)の前にアウトレットモールが、また愛知県長久手市に「スタジオジブリ」のテーマパークが開業予定で、新路線が期待されます。

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