乗客減/支援終了/原油高の三重苦 バス業界22年度を占う 危機感持つべき「大都市郊外」
依然厳しい貸切バス しかし安定した需要も
貸切バスの分野は、短期的には春の遠足、修学旅行シーズンにいったん需要が戻るものの、中長期的には厳しい将来が予測されます。
筆者が「社会的な旅行」と呼ぶ、企業や町内会などの慰安旅行の需要減少は、コロナ禍でより加速したと考えられます。観光地を総花的に巡る旅行会社のバスツアーも、シニア層の出控えにより市場縮小が加速しそうです。将来、インバウンドが回復しても、団体ツアーからFIT(個人自由旅行)へのシフトが進み、貸切バスの出番は少ないでしょう。
厳しい中ですが、通販サイトの配送センター従業員の通勤送迎バスや、高級ツアー専用の豪華バスといった分野の受注は安定しています。いずれも発注側の企業や一流旅行会社からの信頼が重要な分野です。そういう強みを持たない貸切バス事業者では、コロナ対策の公的な支援策終了によって、経営破たんが続く恐れがあります。
思わぬゲームチェンジャー? 「日野自の不正」がもたらす影響
なお、日野自動車によるエンジン燃費測定試験の不正が2022年3月に判明し、同社およびいすゞ自動車ブランドの高速、貸切バス大型車の出荷が停止しています。直近では、幸か不幸かコロナ禍により新車の需要が減るとともに中古バスの在庫に余裕があり、影響は最小限に留まっています。しかし、問題が長期化すると、同タイプの車両製造は国産では三菱ふそうトラック・バス1社に限定され、供給量が制約されることが懸念されます。
ディーゼルエンジンに関する不正が原因ということもあり、長期的には「EVシフトを加速させそうだ」という関係者の見通しが聞かれます。同時に、それらの動きが絡まって車両購入費が高騰するのを懸念する声もあります。
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