エアバスの爆売れ空中給油機 何がいいのか? 米空軍も“今度は買う”になりそうな秘策も

アメリカ空軍、次は買ってくれるかな?

 かつてエアバスとEADS(現エアバス・ディフェンス・アンド・スペース)は、KC-135空中給油機の一部を後継する「KC-X」計画に、ノースロップ・グラマンと組んでA330-200 MRTTを提案しています。2008年にはアメリカ空軍にKC-45Aの名称で採用が決まったものの、GAO(アメリカ会計検査院)から決定の見直しが勧告されたことから、採用は白紙撤回され、最終的にボーイングが提案したKC-46Aが選定されたのです。

 KC-45A(A330-200 MRTT)の採用を白紙撤回した理由として、アメリカ空軍はフライング・ブーム方式での給油実績が無いことを挙げていました。しかし、現在のA330-200 MRTTはフライング・ブーム方式での給油実績を十分に備えています。

 またエアバスはシンガポール空軍などと共同で、世界初の全自動フライング・ブーム方式空中給油システム「A3R」の開発を進めています。

 A3Rはシステムが起動すると、空中給油を受ける航空機の受油口にブームを自動的に接続。給油を受ける航空機の安定性の低下や給油機側の誤動作が発生した場合は、自動的に受油機からブームを切り離す仕組みです。実用化されれば空中給油の効率は大幅に向上します。

 A3Rの存在はアメリカ空軍にとっても魅力的であることは間違いなく、エアバスの目論み通りの性能を発揮できれば、「KC-Y」商戦が有利になるのはもちろんのこと、将来計画されている次世代空中給油機「KC-Z」への採用も見込めるのではないかと、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【了】

【マジで?】開発中の空中給油「全自動システム」がド派手 画像で見る

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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1件のコメント

  1. 日本は給油機でついてない。
    KC-767は世界で日本、イタリアだけの8機しか存在しない。
    その後継のKC-46も予算化した機体の改修費用が追加請求される可能性が高い。
    同じ767系のE-767も世界で4機しかないうえに搭載機器のベース機であるE-3が退役時期を迎えてくるので
    性能向上改修が終了してしまう可能性があり、機体はとべても載せるシステム更新が終了するので
    退役しないといけなくなる。