40年もなぜ使われる? もう1つの米大統領専用機VH-3D「マリーンワン」来日は最後か
新型「マリーンワン」の導入が遅れたワケ
バイデン大統領が来日時に使用したヘリコプター「VH-3D」は、1978(昭和53)年にデビューした40年選手の大ベテランです。カーター大統領の時代から幾度も改修を重ねて使用してきたものの、老朽化が進んでいたことから、後継機種の導入が大きな課題となっていました。
新しい「マリーンワン」の選定については2000年代から検討されていましたが、2001(平成13)年に発生したアメリカ同時多発テロ事件や、アグスタウエストランド製AW101をベースにしたVIP機の開発遅延とコスト超過による採用中止など、さまざまな要因が重なり、機種更新は2020年代にまでずれ込んでいます。
新型の大統領専用ヘリコプターは、シコルスキー「S-92」をベースにした「VH-92A」。アメリカ国防総省は既存のVH-3DとVH-60Nを置き換えるため、2023年までにVIP仕様のVH-92Aを21機、このほかに訓練用や各種支援用として通常の輸送型CH-92Aを2機、計23機調達する計画を立てています。
2023年には広島市でG7サミットが開かれることが決まっており、その時には新機種のVH-92Aが日本に持ち込まれるかもしれません。
ちなみに「エアフォースワン」も、ボーイング747-200Bをベースにした現行の機体(VC-25A)から、2025年までにボーイング747-8をベースにした新型機(VC-25B)へ置き換えられることが決まっているため、そのうち最新鋭機で揃えられた大統領専用機のペアの活躍を見ることができるようになると思われます。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
コメント