移動洋上基地! 危険な機雷処理などのサポート担う米海軍の「ミゲル・キース」に注目

長丁場にはいてほしい「ミゲル・キース」 今後ますます重要なフネに

 洋上拠点として機能する「ミゲルキース」の存在は、特に長時間の活動が必要となる対機雷戦において非常に重要となります。実際に、今回の演習に参加したアメリカ海軍第7掃海隊の司令官であるスコット・ハッタウェイ大佐は、「ミゲルキース」について「活動する現場海域の近くに作戦を支援することができる移動拠点があることで、機雷の処分に従事する部隊や装備の活動時間を大幅に増やすことができる」と述べています。

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海兵隊の航空部隊と共同訓練中の「ミゲル・キース」(画像:アメリカ海軍第7艦隊)。

 近年、特に日本周辺では機雷の脅威が一層高まりつつあります。というのも、台湾有事の際にアメリカ海軍の艦艇の活動を制限するべく、中国軍は対艦ミサイルとあわせて機雷を活用すると見られているためです。

 そうしたわけで、機雷を処分するために実施される「対機雷戦」の重要性は日に日に高まってきており、それはあわせて「ミゲル・キース」の重要性も高まってきていることを意味しているといえるかもしれません。

 ちなみに、この「ミゲル・キース」を含めたルイス・B・プラー級の艦種名「ESB」は、以前は「機動揚陸プラットフォーム(MLP)海上前方集結基地(AFSB)」という、舌を噛みそうなほど長いものでした。それが、2015(平成27)年に当時の米海軍長官によって現在のESBに改められたという経緯があります。理由はともあれ、現場にとっても短い名前の方がいろいろ便利であることは間違いないでしょう。

【了】

【写真】デカっ! 「ミゲル・キース」の巨体がよくわかる1枚と演習の様子

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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