戦車は走るよ将来も! 決して終わっていない「陸の王者」の欧米における開発の現状
「レオパルト2」+「ルクレール」の衝撃から数年…その後の進捗は?
「MGCS」は、2012(平成24)年からフランスとドイツが始めた、ヨーロッパにおいて標準となる統一仕様の戦車をつくろうという計画です。フランスは「ルクレール」、ドイツは「レオパルト2」という戦車を国産してきましたが、それらの後継戦車を共同開発しようというのです。
2018年には、「レオパルト2A7」の車体に「ルクレール」の砲塔を載せた「EMBT(ヨーロピアン・メインバトルタンク)」を公開しました。EMBTは展示用の張りぼてかと思いきや、実際に走行し射撃もでき、両国の本気度をアピールしました。しかも、両者の良い所取りがうまくいったのか高性能だったそうです。
その後、2021年1月にはイギリスがオブザーバー参加する意思を示し、そのほか2022年現在でイタリア、ポーランド、スペイン、オランダ、ベルギー、スウェーデンが関心を示しています。
イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどは、それぞれ戦車を国産しています。これまでも戦車の開発で国際共同開発はあったものの、各国の利害対立から失敗してきた歴史があります。最近では兵器の開発コストが高騰する一方であるためか、負担分散を目的に国際共同開発はよく行われており、ウクライナ情勢も踏まえてヨーロッパ各国の本気度が試されることになりそうです。
2020年5月、ドイツのラインメタル、クラウスマファイ・ウエッグマン(KMW)、フランスのネクスタ―の3社からなるMGCSの共同事業体KNDSに、ドイツ政府はシステムのアーキテクチャを定義研究する最初の契約を結び、18か月をかけてプログラムを評価検討しました。2028年までに全体システム実証フェーズおよび、初期生産とテストを完了させるといい、配備開始は2035年から、完全な作戦運用能力獲得は2040年までに達成される予定です。あと約20年先のことになります。
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