艦橋は城郭のよう 日本最後の“重”巡洋艦「高雄型」は世界最強の条約型巡洋艦か?

1932年に就役した高雄型は、日本最後の重巡洋艦です。本型の後に造られたのは全て軽巡洋艦でした。ただ、旧日本海軍は本型を極めて重視していたようで、節々にその運用思想を感じ取れます。どのような巡洋艦だったのか見てみます。

太平洋戦争を生き抜いた「高雄」

 大改装は「鳥海」「摩耶」にも行われる予定でしたが、1941(昭和16)年12月に太平洋戦争が始まった影響で間に合わず、この2艦については酸素魚雷の運用能力と航空艤装の改良という限定的な改装で終わっています。

 なお「摩耶」については、1943(昭和18)年の損傷復旧時に、主砲塔1基を降ろし、そのぶん対空兵装を強化して防空巡洋艦へと変貌を遂げています。具体的には、12.7cm連装高角砲6基12門、25mm機銃66門、13mm機銃36門を備えており、1944(昭和19)年6月に起きたマリアナ沖海戦では、空母「瑞鳳」「千歳」「千代田」らの護衛に就いて勇戦しました。

 しかし、その半年後に起きたレイテ沖海戦で潜水艦の魚雷を受け、「高雄」が大破、「愛宕」「摩耶」は撃沈されます。「鳥海」も直後のサマール沖海戦で航空攻撃により失われ、高雄型は壊滅しました。

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1944年5月にフィリピンで撮影された「摩耶」。防空に特化した改装が施されており、写真では第3砲塔が撤去されているのがわかる(画像:アメリカ海軍)。

 ただ1隻、沈没を免れた「高雄」は、損傷しながらもシンガポールに到着。修理のためドックに入ったままで搭載する高角砲などを射撃し、来襲したアメリカ軍のB-29大型爆撃機を撃墜するなどの戦果を挙げますが、そのまま終戦を迎えます。

 こうして、戦火を生き抜いた「高雄」でしたが、接収したイギリス海軍の手により、終戦翌年の1946(昭和21)年10月下旬、マラッカ海峡で処分されました。

 高雄型重巡は日米主力艦隊同士の艦隊決戦に向け、夜戦戦力の中核として建造され、同世代重巡で最強の艦型でした。ただ太平洋戦争中では、想定した艦隊決戦は発生せず、搭載魚雷の不備や消極的な戦闘指揮で、結果が出ない戦闘もありました。とはいえ、高雄型各艦とも水上戦闘で戦果を挙げており、建造目的を全うした艦型だったのではないでしょうか。

【了】

【写真】高雄型重巡の主砲発射シーンほか

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

1件のコメント

  1. ケント級は則舷装甲の強化と引き換えに魚雷発射管を降ろしたりしてるので、イギリス海軍は割とマジメに1万トン制限を守ろうとしてたみたいですね

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