井の頭線も“第二山手線”の一部だった? 秘蔵資料で判明 直通計画と「明大前駅の平面交差」
他路線との交差地点 跨ぐ?潜る?
他路線との立体交差の様子としては、たとえば現・JR中央線の中野駅では、ホームの新宿寄り付近を高架で跨いでいます。その先の線路は、現在飲食店が並ぶ路地の「ふれあいロード」に沿って進んでいるので、東京山手急行線が実現していたら、ここは高架下飲食店街になっていたかもしれません。
また自由が丘駅(目黒区)は、東急東横線が東急大井町線を跨ぐ2階建て構造になっています。さすがに東京山手急行線は、そのさらに上を行くことはできなかったようで、やや東寄りに駅を設け、その付近で大井町線を跨ぎ、その先で東横線を潜っています。乗客が増えればここも、東京山手急行線を地下に通し、現在の自由が丘駅に直結できるようルート改善したのではないか、など楽しい想像も膨らみます。
最後に、東京山手急行線が西側半分の計画となった1932(昭和7)年頃の、他社線との交差地点を列挙しておきます。「上」は東京山手急行線が高架で跨ぎ、「下」は他社線を潜る形での交差をそれぞれ示します(現存する駅名・路線名については2022年現在に準拠)。
大井町駅~【JR横須賀線(西大井駅の南方)】「上」~【東急池上線(雪が谷大塚駅より約100m石川台寄り)】「下」~【東急目黒線 奥沢駅】「上」~【東急大井町線 自由が丘駅】「上」~【東急東横線 自由が丘駅】「下」~【玉川電気鉄道 駒沢駅】「上」~【東急世田谷線 世田谷駅】「下」~【小田急線 梅ヶ丘駅】「上」~【京王線 明大前駅】「下」~【京王井の頭線 明大前駅】「平面交差」~【旧西武鉄道(後の都電)天神前駅】「上」~【JR中央線 中野駅】「上」~【西武新宿線 沼袋駅】「上」~【西武池袋線 江古田駅】「下」~【東武東上線(大山~中板橋)】「下」~【JR埼京線 板橋駅】「上」~【都電荒川線 西ヶ原四丁目停留場】「下」~駒込駅
【了】
Writer: 内田宗治(フリーライター)
フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。
コメント