19世紀欧州「鉄道ゲージ戦争」いまに続くその功罪 ウクライナ侵攻で改めて浮き彫りに

鉄道のレール間の規格「ゲージ」にはいくつか種類があり、欧州では、大まかに東欧と西欧とで異なります。この差異、源流は鉄道の発達した19世紀に遡るわけですが、これが21世紀の現在にまで大きく影響を及ぼしているのです。

島国には想像できない国際鉄道の「脅威」

 また6月21日、リトアニアがEUの対ロシア制裁に基づき、ロシア領カリーニングラードへの貨物列車の国内通過を制限しました。カリーニングラードは第2次世界大戦後の1945(昭和20)年にドイツからソ連へ割譲され、現在はロシア本土と接していない飛地です。バルト海に面した要衝でもあり、ロシア海軍のバルト艦隊が常駐しています。旧ソ連圏ゆえ、広軌の鉄道がロシアからベラルーシとリトアニアを経由しカリーニングラードへと繋がっていますが、当然ながら物流を絶たれるロシアは強く反発しており、新たな火種になる可能性が生じつつあります。

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2005年に撮影されたバルト艦隊旗艦「ナストーイチヴイ」(画像:アメリカ海軍/Public domain、via Wikimedia Commons)。

 リトアニアはEUおよびNATO加盟国ですが、国内には先述のように広軌が通じており、ロシアの経済物流ラインと繋がってエネルギーもロシアに依存しているという、複雑微妙な立場です。一朝事あれば、広軌はそのままロシア軍の兵站線になります。

 国際列車は国同士の連携を象徴するものである一方で、非友好国とも直通できる鉄路を抱えている恐怖は、島国日本人には理解し辛いものです。ウクライナ国内メディアによると、シュミハリ首相は5月末に、ウクライナ国内の鉄道のゲージを将来、段階的に標準軌へ改軌することを示唆しました。もっとも同国のカワ財務副大臣は「全土でのゲージ変更には1000億ユーロ(約13兆8000億円、2022年5月末時点)と30年以上の工事期間が必要になる」と述べており実現性は疑問ですが、その取り組みをロシアも欧州各国も注視しているはずです。

【了】

【写真】ゲージが違うゆえに…ハンガリーとウクライナの国境駅の光景

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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コメント

2件のコメント

  1. 兵站輸送などというが、日本ではわざわざトンネルポータルや高架橋をミサイルで撃つような陽動作戦に出なくても、移動体通信キャリアのひとつでもサイバーテロで無力化するだけで貨物列車がどこにいるのかわからなくなるのであった。

  2. 詐欺広告が頻繁に出てくるんだが

    どういう審査してるんや……

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