F/A-18「スーパーホーネット」なぜ1人乗りと2人乗りが? ならではの共同作戦『トップガン』新作でも
「トム猫」とほぼ同サイズ化した「蜂」
こうして、シリーズの中核となったF/A-18C/D「ホーネット」ですが、より高性能化を図るべく、その発展型の開発計画が1992(平成4)年より始まりました。背景には、A-6「イントルーダー」艦上攻撃機の後継として開発されていたA-12「アヴェンジャーII」の開発が中止となり、別の後継機が必要となったことも影響しています。
このような事情から生まれたのがF/A-18E/F「スーパーホーネット」です。前型のF/A-18A~Dの各型が第4世代ジェット戦闘機に分類されていたことから、F/A-18E/F「スーパーホーネット」は第4.5世代ジェット戦闘機に分類されます。
「スーパーホーネット」はE型が単座、F型が複座になるため、後者がB型やD型の後継といえる存在です。外観こそ前型のF/A-18A~Dに酷似しているものの、機体サイズはひと回り大きくなり、エンジンが変更されてエアインテークの前面形状も楕円形から角型に一新されるなど、大きな変更が施されました。その結果、従来のF/A-18A~D「ホーネット」シリーズと新型のF/A-18E/F「スーパーホーネット」では、パーツの共通性については1割ほどしかないといわれます。
かくしてF/A-18E/Fは、大柄なF-14「トムキャット」に比肩するほどの機体サイズとなったため、それまでのF/A-18A~Dシリーズの特徴だった軽量マルチロール機という枠をはみ出して、大型マルチロール機へと「変身」しました。
『トップガン マーヴェリック』の作中でも描かれますが、2機が行動を共にする場合、次のような使い分けがなされます。複座の後席に兵装システム士官(WSO)が乗ったF/A-18Fがレーザーによって目標を標定し、そこに単座のF/A-18Eがレーザー誘導爆弾による精密爆撃を実施する――といった場面です。
爆弾を携行し、落とすだけの単座機は、レーザー誘導爆弾が機体から離れたら、あとはひたすら飛行と敵機への警戒に注力すればよいのに対し、レーザー照準し爆弾の誘導を担当する機体(すなわち僚機)の方は、爆弾が命中するまでレーザーを目標に照射し続けるとともに、退避行動と敵機への警戒も行う必要があります。それが複座機なら、搭乗員同士でレーザー誘導と機体操作にそれぞれ役割分担が可能です。
攻撃を担う単座機と誘導を行う複座機、それぞれが協力しあう様子を『トップガン マーヴェリック』で見ることができます。
【了】
Writer: 白石 光(戦史研究家)
東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。
作戦内容によって
空戦任務なら
単座
地上爆撃任務なと
飛行操縦のパイロットと
兵装をコントロールする
「兵装士官」の2名任務
F4,F14が2名乗務がまさに同様な
任務から
常に2名乗務