『トップガンM』主役機「F/A」の意味 世界で主流の「マルチロール機」とは?

ジェット時代の到来でマルチロール機は完成形へ

 戦後、ジェット機時代が到来すると、エンジンの出力は格段にあがり、ペイロードが増加しても速度や機動性などに満足な性能を発揮することが可能になります。さらにレーダーの発展により、昼夜天候問わず飛行できる「全天候戦闘機」が登場し、小型爆撃機の仕事だった地上攻撃任務を戦闘機に兼任させてはどうかというプランがアメリカで考えだされます。

 ただ1960年代に登場した「戦闘爆撃機」と呼ばれるF-105「サンダーチーフ」やF-111「アードヴァーク」のようなジェット機は、今のマルチロール機に通ずるものはありますが、爆撃能力に主眼を置きすぎて肝心の空戦がイマイチという評価になってしまいます。

 しかし60年代以降、陣営の東西を問わず、任務別にそれ専用の航空機を配備する金銭的余裕のある国は米ソのような超大国以外には存在せず、マルチロール機の研究は各国で進められました。

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小松基地でシステムの動作チェック中のF-16「ファイティングファルコン」三沢空軍基地所属機。2014年撮影(画像:アメリカ空軍)。

 そうしたなかで脚光を浴び、いまなお生産数を伸ばし続けているマルチロール機は、やはり開発力で一歩先んじるアメリカ製で、1978(昭和53)年に運用が開始されたF-16がそれになります。

 F-16は当初、F-15のような大型の戦闘機に比べ安価に運用できる軽戦闘機というコンセプトでしたが、採用当初から無誘導爆弾などを搭載できる設計、すなわち対地攻撃能力を持っており、1984(昭和59)年に全天候対応の戦闘攻撃機となったC/D型へモデルチェンジすると、精密誘導爆弾や対レーダーミサイルの運用能力も獲得し、攻撃機としてもトップレベルの性能を持つマルチロール機となりました。

 海軍の艦載機向けとしては、F/A-18「ホーネット」がこれまでの艦上戦闘機および攻撃機の任務を兼任する機体として登場し、『トップガン マーベリック』に登場するF/A-18E/F「スーパーホーネット」へ発展していきます。

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