ANAついに「737MAXへ更新」解禁 他社で2度の事故もなぜ導入継続? それが「安全で効率的」な理由
「操縦特性補正システム」なにが問題だったのか?
操縦特性補正システムは、主翼に対向する空気の流れの角度(迎え角)の大きさと機体の速度に応じて、自動的に水平尾翼にある「水平安定板(スタビライザー)」の角度を機首下げ方向に動かす機能です。つまり、一定条件で自動的に機首を下げてくれる機能ということができます。これを判断するのが、機首部分の「迎え角センサー」です。
2度の事故はこの「迎え角センサー」が、機首が上がりすぎていると誤判断したことをきっかけとした操縦特性補正システムのトラブルにより、パイロットの意思に反して機首が下がり続けたことが原因とされています。
運航停止期間中に、ボーイング社では同システムの誤作動防止や異常検知機能の追加、迎え角センサーの警告表示の見直し、飛行マニュアルの改定などを実施。2020年12月のブラジルのGOL航空を皮切りに順次運航が再開され、2022年5月時点で46社の航空会社が運航を再開・開始しており、「大きな不具合なく今もなお着実に運航実績を重ねている」(ANA)としています。
ANAでは、製造国当局であるFAA(アメリカ連邦航空局)が、改修内容に対する検証を行ったことで、安全性の担保を確認。着実な運航実績の積み重ねもあったことから、当初の予定どおり、737MAXの導入を継続するに至ったそうです。
ANAによると、737-8、つまり737MAXに乗務予定のパイロットには、操縦特性補正システム機能の理解と習熟を目的とした内容の訓練が義務付けられているとのこと。この訓練についてANAの737パイロットは「操縦特性補正システムは特定条件によって作動するものなので、こういった状況を模擬訓練して、従来機との違いを確認・理解するといったものです」と話します。
一方、ANAの737MAXの導入継続については、さまざまな声があったのは事実。たとえば737シリーズのライバル機である、エアバスA320を地方路線の主力機にすべきといった意見です。737、A320ともにANAでは使用されており、キャパシティなどもほぼ同等。「737MAX」問題でA320シリーズに統一するという”鞍替え”は検討されなかったのでしょうか。
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