「ザク」だけのはずだったのに…『ガンダム』世界の兵器多様化 大戦中の日本も同じ道たどった?

「ザク」後継機、なぜ2種類に別れた?

 このような旧日本海軍の例を『機動戦士ガンダム』に当てはめてみると、「ザク」とは宇宙空間と地球上の両方で運用可能で、敵の宇宙戦闘機にも宇宙艦艇にも対応できる「万能兵器」、すなわち零戦のような存在だといえるでしょう。

 ただ、その後継機は「グフ」と「ドム」に分岐します。これは作中において、地球連邦軍とジオン公国軍との間で結ばれた「南極条約」で、「核・生物化学兵器の禁止」が定められた影響もあるでしょう。なお、これまた作中においてジオン公国軍は1年戦争開戦劈頭に「ザク」がバズーカ(ザクバズーカ)で核弾頭を使用したから勝利したという設定が作られています。

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戦争が激化するとモビルスーツも用途別に分化していく(イラスト:亜浪)。

 核を使用できるなら、敵艦艇の装甲が厚くても関係ないでしょう。しかし前出の南極条約で核は禁止されました。これによりジオン公国軍の首脳は、連邦軍艦艇(ビッグトレーなどの陸上戦艦も含む)が重装甲化したら、MSの搭載兵器では有効弾を与えられないと考えたと推察できます。

 ビーム兵器の実用化も進めていましたが、この時期、ジオン公国軍は「ビグ・ザム」にビームバリアを搭載しようとしていました。そうなると自軍が開発中のものと同レベルの強力な兵器が、地球連邦軍でも実用化され、戦闘艦艇にビームバリアが搭載される可能性も想定できます。その結果、ビーム兵器を上回る威力を有する強力な実体弾の兵装が早期に求められたと思えるのです。

 また、ジオン公国軍は数で地球連邦軍に劣りますから、少ない部隊で多くの敵に対応する必要があります。加えて機動性も迅速さが求められますが、MSを搭載できる航空機「ガウ」攻撃空母は、目標として巨大で、簡単に撃墜されてしまいます。

 さらに、開戦時に新兵器MSの被害を多々受けた地球連邦は、艦艇に対空火器を数多く備えるでしょう。この「仮想敵」に対応するべく登場したのが「ドム」だと思われます。

【写真】旧海軍が運用した様々な戦闘機たち

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コメント

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2件のコメント

  1. サイド7で初のガンダムの戦闘があったのが9月中旬。最後の戦闘は12月末。
    「兵器開発は相手があるから」とは言ってもたった3ヶ月あまりで新型機の企画・設計・試作から量産・配備・運用まで漕ぎ着けるのはちょっと非現実的と思います。ガンプラだってもっとかかりそう…
    (「知らんがな」とは言わないで…)

  2. 人気アニメを引き合いに出すなら、事前に作品を視聴するべきかと存じます。グフはドムの護衛機としてデザインされたか?順番が違います。先ずザクが在り、地上戦が必要に成りグフが登場。ザクとグフの運用結果で地上では想定以上に足回りの負担が生じる事が判り、ホバー走行のドムが開発されたのがガンダム世界の歴史です。甲戦型のグフが先に在り、ドムが戦闘攻撃機型にデザインされたと云うなら納得出来ますが(大日本帝国陸軍の一式戦・隼から二式単戦・鍾馗採用の流れに酷似)、ドムの為にグフが造られた訳では無いと断言出来ます。