21世紀の砲兵部隊になぜ気球? その軍事利用の歴史 始まりは18世紀フランス革命戦争!
いまなお続く気球の軍事利用 始まりはフランス革命のさなか
気球の軍事利用の歴史は18世紀に始まります。
人類が初めて空を飛んだのはフランスのモンゴルフィエ兄弟が発明した熱気球で1783年のことですが、1794年にはもう気球の軍事利用が始まり、フランス革命戦争ではフランス陸軍が、オーストリア軍とのフリュリュスの戦いで偵察のためにガス気球を使用しました。当時はまだ電話がなかったので、人が乗ったゴンドラから偵察結果を記した紙を地上に落として報告したそうです。科学者は気球の有用性を高く評価した一方で、軍司令官はほとんどその効果を認めなかったと記録されています。
固定翼機が発達した第2次世界大戦中にも、偵察や着弾観測、また敵航空機を妨害する阻塞(そさい)気球のために、各国の軍には気球部隊が存在しました。そして21世紀にはドローンが登場し、その役割を引き継いでいます。
しかし現代でも、砲兵部隊では気球が使われています。気象観測用に気温、湿度、気圧、風向、風速などを自動的に測定するセンサーを備えたラジオゾンデを飛ばすためのものです。
陸上自衛隊で砲を扱う特科部隊のなかには、気象観測をはじめ野外測量などを担う観測中隊が置かれており、こちらでは気象測定装置「JMMQ-M5」という機材を使っています。その構成はラジオゾンデのほか、受信用アンテナ、風向風速計、ゾンデ追跡処理装置などとなっています。ラジオゾンデの気球専用天幕もあります。システム一式はコンテナ状で、トラックに搭載して移動することが可能です。
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