揺らぐ戦車のカタチ メーカーが模索する未来の姿は? 「ユーロサトリ2022」を振り返る
戦車は「攻」を削ってなにを得た?
KF51が主砲弾を減らしてまで搭載したのは、ドローンも迎撃できる7.62mm機銃を備えたNatterリモートウエポンシステム、乗員用の高機能外部視察サイト、そしてイスラエル企業UVision製徘徊型兵器「Hero-120」の4連装キャニスターです。車内にはHero-120などのUAVのオペレーター席も用意できるそうです。
Hero-120は「徘徊型兵器」、すなわち、敵を捜索し必要があれば突入するという自爆型ドローンともいわれる類の兵器で、昨年アメリカ海兵隊が導入を決めたことで話題となりました。
弾頭炸薬4.5kgで対戦車用にも使用可能、射程60km、飛翔時間最大60分、キャニスターから発射でき1発のキャニスター込みの重量は18kgとコンパクトになっています。電子光学/赤外線カメラを搭載し、昼夜を問わず使用可能で、電動モーター推進のため静粛性と熱源抑制に優れ、発見されにくいという特徴があります。
KF51は、あえて戦車の宿敵との融合を提案したのです。
「レオパルド2」×「ルクレール」の衝撃から4年 EMBTは…
独仏共同での次世代ヨーロッパ標準戦車開発を目的に発足した、ドイツのクラウスマファイ・ウエッグマン(KMW)とフランスのネクスタによる合弁会社KNDSは、EMBT(欧州主力戦車)を出展しました。
同社は2018年の「ユーロサトリ」にて、ドイツ戦車「レオパルド2A7」の車体にフランス戦車「ルクレール」の砲塔を載せた合体戦車を出展して注目されましたが、これは独仏共同のシンボルであり、EMBTのベースではありませんでした。
今回のものは、より本格的なデモンストレーターとなっています。車体は「レオパルド2A7」の改造流用のようですが、砲塔は新型です。車体や砲塔のあちこちにセンサーやアンテナを満載しているのが印象的です。乗員は2名から4名で、無人/有人プラットフォーム(後述)をネットワークで指揮統制できる専門のオペレーターを乗車させられるのが特徴です。
砲塔はまた独特な形状をしており、目立つのはリモートウエポンシステムが2基搭載できることで、標準的な7.62mm機銃のほかに、ドローン対策として対空戦車顔負けの30mm機関砲を備えたARX30というリモートウエポンシステムも装備し、ひと昔前の多砲塔戦車のような体裁です。
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