なんか変! カリフォルニアに1機のみ現存の激レアA-10攻撃機 試作で終わった残念なワケ

初飛行から7年後に始まったアップデート計画

 そこで空軍は、1979(昭和54)年にA-10のアップグレードを計画します。A-10A型の最初の試作機(シリアルナンバー73-1664号機)を、開発・生産元であるフェアチャイルド・リパブリック社の工場に戻して、そこで大規模な改造を実施します。

 まずコックピットの後方にもうひとつ操縦席を追加する形で複座型へとチェンジ、センサーやアビオニクス(電子機器)も追加しました。なお複座にしたことで、コックピット部分が前後に長くなったため、キャノピーはクラムシェル型から、前後分割タイプの横開き式に変更。コックピット後方にはドーサル・フェアリングという膨らみ部分を増設し、この中に追加のアビオニクスを収納しています。

 さらに垂直尾翼が上に約50cm延長されて大きくなっています。なお、A-10のシンボルともいえる30mm機関砲GAU-8も、原型と変わらずに装備していましたが、複座改造により機内スペースが狭くなった影響で、搭載弾数が1174発から750発に減少しています。こうして完成した複座型は、夜間・悪天候の英語(Night/Adverse Weather)の頭文字を取って「N/AW A-10」と名付けられました。

Large 220804 a10 02

拡大画像

アメリカ空軍のA-10C攻撃機。ひとり乗りの単座型で、複座のA-10Bとは風貌の形状などが大きく異なる(画像:アメリカ空軍)。

 N/AW A-10に追加された装備は、夜間の視界確保と攻撃目標の指示にも使える前方監視赤外線装置(FLIR)、レーザー目標指示装置、夜間でも低空飛行を実施できるよう導入された地形追従レーダーや気象レーダーなどです。これらは機体下部のパイロンに吊り下げられた複数のポッドの中に分けて搭載されました。

 なお、後席は電子戦士官(Electronic Warfare Officer)と呼ばれ、座席には追加したセンサーの情報が表示できる2台のディスプレイを装備していました。

 これらの改造により、N/AW A-10は攻撃機としての性能が上がっただけでなく、2名のクルーによって操縦と攻撃を分担して行えるようになったことで、正式配備されればA型よりも攻撃機としての能力が高くなるだけでなく、運用や任務の幅も広がったでしょう。

【写真】前から見るとフツー、横から見ると違和感MAXなA-10B攻撃機

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. あくまでも陸軍への近接支援が目的なので手柄は陸軍のものという扱いになり、空軍としては面白くない機種なんですよね
    運用方法が第二次世界大戦時のJu-87と同じなんですよね、当時は無限の射程距離を持った大砲扱いでしたが、今日でも近接航空支援は、無限の射程距離を持つ大口径砲と同じ扱いなのでしょうね。

  2. 空自で航空機整備(主にF-4)を17年ほどしていた者です。複座型が1機しか製造されなかった理由について知れる記事(タイトルもそう思える)かと期待して拝読しましたが、わかりませんでした。・・・残念。

    • 1機作って検証してるうちに
      「専用装備と技師載せるより新開発の機械載せたほうがええ」
      という結論に至ったから検証機1機で終わり

      という話じゃないんです?