国際法的には問題ナシ!? 中国の弾道ミサイルが日本のEEZへ着弾 では何が問題なのか?

中国による軍事演習は国際法的にアリ?

 そもそもEEZとは、領海などの幅を測る際の基準線である基線から200海里(約370km)の範囲で設定できる海域のことです。

Large 220805 sbm 02

拡大画像

日本の領海等概念図(画像:海上保安庁)。

 海洋に関するさまざまなルールについて定める「国連海洋法条約(UNCLOS)」によると、沿岸国の主権が及ぶ「領海」とは異なり、EEZにおいて沿岸国(今回の場合は日本)に認められるのは、魚介類や鉱物などを含む天然資源の探査、開発、保存および管理などに関する主権的権利と、人工島、施設および構築物の設置や利用、海洋環境の保護および保全、海洋の科学的調査などに関する管轄権に限られており、たとえば沿岸国の安全保障に関する権限などは設けられていません。そのため、たとえ弾道ミサイルがEEZ内に着弾したとしても、そのことが直ちに国際法に違反するというわけではないのです。

 ただし、だからといっていつでもどこでも自由に軍事演習を実施してしまえば、もしかするとそこで操業中の漁船に被害が生じてしまう可能性もあります。そこで、EEZ内で軍事演習などを実施する際には「沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払う」ことが求められています(UNCLOS 58条3項)。今回、中国側が事前に演習を実施する海域を通告したのも、この「妥当な考慮」に基づくものと考えられます。

 しかし、たとえば中国側が日本に対して何らかの要求を伝達し、それを受け入れさせる目的で軍事演習を実施したとすれば、その場合には現在の国際社会における平和と安定の中核である国連憲章において明示的に禁止されている「武力による威嚇」に該当する可能性があり、そうであればこれは国際法に違反することになります。

【画像】無人機も飛来した2022年8月4日の現場付近における中国機、艦艇の動向

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。