西九州新幹線の開業で特急激減&半分非電化に 「長崎本線」の今後 佐賀は割を食うだけ?
メインルートから外れる佐賀県鹿島市 悩みは「特急激減」「長崎方面への移動消滅」
今回の在来線の変化で、大きな影響を受ける自治体のひとつが、電化設備が存続する区間の末端、佐賀県鹿島市です。
人口2.7万人を擁する鹿島市の玄関口、肥前鹿島駅の1日の利用者数は、2020年にはコロナ禍で1000人を割り込み830人ほどに。同年の佐賀県の調査によると、特急「かもめ」の利用者は1日平均で500人少々(うち通学110名)といいます。とはいえ、早朝には特急・普通ともに利用が集中している様子がうかがえました。
朝6~7時台には3本の特急がこの駅を発車、うち6時38分・当駅始発の「かもめ102号」、そして18分後の「かもめ2号」には、それぞれ16人、12人が乗り込んでいきました。この日は夏休み期間中とあって、どちらかといえばスーツ姿の人々が目立ちますが、福岡市内の大学・専門学校への通学にも使われているとのこと。
なお肥前鹿島~博多間は特急で1時間少々、この後7時台の1本までに乗車すれば、朝9時までに博多エリアへ到達できます。鉄道を利用すれば福岡市の通勤圏とも言える好条件を生かすべく、鹿島市ではJR九州と交渉を重ね、2002(平成14)年に前述の「かもめ102号」が運行を開始。通勤費用の手厚い補助などもあって、鹿島に家を購入して特急通勤する人も出るなど、定住の促進に成果を挙げてきました。
しかしこの特急が、新幹線の開業とともに大幅な減便となります。鹿島市は最寄りの高速道路ICまでが20~30kmと遠く、大都市圏へのアクセスは鉄道頼りで、博多・天神直通の高速バスも2002年に休止となったまま復活していません。減便の救済措置として新たに運行される特急「かささぎ」も、3年後をめどとして利用状況によってさらに減便が行われる見通しで、この街のセールスポイントであった「博多に近い郊外」の維持が、見通せなくなっています。
また、利用状況としては9割以上が上り(博多方面)で、下り利用は極めて少ないとはいえ定期利用者が存在するそうですが、その長崎方面への利便性が一挙に落ちることも悩みの種です。肥前鹿島~長崎間は特急が全廃となるため、1時間強だった所要時間はほぼ倍に。嬉野温泉駅まで移動すれば新幹線利用で長崎駅まで約25分ですが、始発便の時間帯が遅いため長崎駅到着も十数分遅くなってしまいます。
武雄温泉も嬉野温泉も佐賀県なので、
佐賀が割を食うというよりは佐賀県内で有利不利になるところがあるというべきでしょうか。