西九州新幹線の開業で特急激減&半分非電化に 「長崎本線」の今後 佐賀は割を食うだけ?
意外と頑張ってる並行バス 鉄道と補完しあう役目とは?
そして長崎本線の沿線では、鹿島市を本拠地とする「祐徳自動車」(祐徳バス)の路線バスが影の交通の主役を担っています。
その路線網は鹿島駅前にある「鹿島バスセンター」を中心に、鹿島~佐賀駅、鹿島~太良~竹崎港線などが、鉄道と並行する国道207号を走行しています。運賃は区間によって鉄道の倍、所要時間もかかるものの、並行する長崎本線は駅間が軒並み3~4km離れており、バスは自宅近く→最寄り駅といった細かい利用がよくみられます。なお2019年までは佐賀市~鹿島市~県境(県界バス停)で長崎県営バスに乗り継ぎ、長崎市内まで向かうことが可能でしたが、佐賀県側の区間短縮によって途切れています。
また祐徳バスは鹿島市から新幹線沿線である嬉野・武雄方面にも路線を持ち、1時間に1~2本の運行で朝晩の通学輸送を担っています。市外への通勤はクルマ利用が多いものの、鹿島~嬉野間のバス路線は嬉野高校(嬉野校舎・塩田校舎)通学する高校生の利用が過半数を占め、朝晩にはそれなりに利用者が多いのだとか。
なお祐徳バスは、新幹線開業とともに新幹線の嬉野温泉駅や、駅併設の道の駅への乗り入れを行う予定です。もし長崎本線の特急がこの後も減少を続けるとなると、博多への玄関口が肥前鹿島駅から、嬉野温泉駅・武雄温泉駅に代わっていく可能性もあります。現在の在来線区間である長崎本線の沿線地域にとって、できるだけ特急を維持するための乗客の確保が課題となってくるでしょう。
※一部修正しました(9月22日 8時)
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
武雄温泉も嬉野温泉も佐賀県なので、
佐賀が割を食うというよりは佐賀県内で有利不利になるところがあるというべきでしょうか。