「空飛ぶ軍用ガソリンスタンド」乗ったら機内食でた! ビジネスシートも!? そこまで快適にする理由
民間機と同じクオリティの機内食提供もOK
飛行は3時間ほどでしたが、途中に昼食時間を挟んだため、簡易的な機内食も提供されました。メニューはパックに入れられたサンドイッチに、クラッカーが2種類とデザートのフルーツ(筆者の場合はみかん)、パック入りのジュースです。驚いたのはサンドイッチのラベルに、機体が配備されているオーストラリア空軍のティンダル空軍基地の名前と、軍用と思われるシリアルナンバーが記載されていたことでした。
クルーに聞くと、機内で提供される食事は、すべて基地内の軍の厨房で作られており、調理からパッケージングまで厳しく管理されているそうです。これは食中毒等の危険からクルーを守るための措置で、ラベルにはほかにも保存時の適正温度や原材料が書かれていました。
今回のフライトではクルーたちは食事をしていませんでしたが、長時間飛行する場合は普通に機内食を食べるそうです。その時の食事は筆者が食べたサンドイッチのように基地内で用意し、メニューも一般の機内食と同じようにボリュームのあるものになるとのこと。なお、機体を操縦する機長と副操縦士は、食中毒があった場合を想定して、まったく別のメニューを用意されるとのことで、これも一般の旅客機と同じ方式だといえるでしょう。
戦闘機と比べると輸送機や空中給油機は飛行時間が長くなります。軍用機に快適な乗り心地を求めることは、素人目には矛盾した考えに思えるかもしれません。しかし、長時間の飛行を安全かつ確実に行うには、クルーがストレスなく機内で快適に過ごせることも重要な要素だといえます。
また、KC-30Aの場合は人道支援任務などで民間人を乗せることも想定しているため、機内環境の整備は必須だったともいえるでしょう。
図らずもオーストラリア空軍の空中給油機を取材したことで、LCC(格安航空会社)よりも快適な「空の旅」を満喫することができました。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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