ウクライナに「冬将軍」もうすぐ到来 秋雨から泥濘→凍れる大地へ ロシア軍どうする?

装輪車両が軒並み動けなくなる泥濘や積雪

 2022年10月現在、このラスプーチツァと積雪の冬を目前にして、ウクライナ軍は攻勢を継続する一方、ロシア軍は守勢に回り、場合によっては後退しているようです。これまではウクライナ軍が守りに就き、ロシア軍が攻勢を仕掛けていましたが、現状、一部の戦線でロシア軍が劣勢なのは間違いないといえるでしょう。

 実は本格的な冬になると、攻める側も守る側も積雪と寒さで行動が制限されてしまいます。正確には、兵器などの「機械」は大丈夫でも「生身の人間」である将兵が寒さに耐えられず、陣地にこもるようになります。

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ロシア侵攻前、雪中で訓練中の2S5「ギアツィント」152mm自走カノン砲(画像:ウクライナ国防省)。

 加えて泥濘と積雪は、補給にも重大な影響を及ぼします。最前線の戦闘車両の多くは戦車のような装軌式ですが、補給部隊は装輪式のトラックやトレーラーがメインのため、泥濘や積雪がそのスピードを削ぐうえ、行動範囲を制限してしまうでしょう。

 こうなると、「補給の源」が戦線に近いほうがより円滑な補給体制を構築できます。つまり、母国のある東方に撤退中のロシア軍は、後退すればするほど補給線が短くなって補給が容易になり、それを追って東進するウクライナ軍は、西方の自国国境を越えて外国から供給される補給物資の輸送距離が東に向けて延びるため、補給業務がより大変になる可能性を含んでいます。

 最前線での戦い方もまた、泥濘と積雪の下では条件が悪くなります。いくら全輪駆動車(AWD)であっても、接地圧の高い装輪式車両では機動力に限界があります。たとえばフランスから提供された「カエサル」自走砲のようなトラックタイプの装輪式自走砲ではなく、ドイツから提供されたPzH2000のような装軌式、いわゆるキャタピラ駆動の自走砲でないと行動に制限が生じる心配があるのです。

【写真】泥濘の中を進むウクライナ軍機械化部隊ほか

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