「センスがないと伝えなければいけない時もある」バス運転手のリアル 就職イベントで見えた“やりがい”

ツアーバスのやりがいは「最後の拍手」 女性乗務員のリアル

 名古屋の会場では、3人の女性乗務員が登壇。乗務員になったきっかけを聞かれ、3人とも「運転が好きで、接客も好きだから」と声を揃えたのが印象的でした。

 三重交通の石井美香さんは「お年寄りがご乗車の際などに、運転席を離れて乗車をお手伝いすることがある」と地域密着の路線バスならではの使命感を語り、名阪近鉄バスの大熊満希子さんは「長い行程のツアーで最後のご挨拶をする際、車内から拍手をいただくときが嬉しい」と、貸切バスのやりがいを紹介しました。

「今後、女性乗務員を増やすにはどうすればいいか」という質問に、豊鉄バスの佐竹鈴美さんは「子どもが小さい間、早番の日に保育所へ送迎できず困った」とし、勤務シフトへの配慮が必要だと言います。「女性はずっと特別なシフト」である必要はなく、子育て期間に限った措置で十分だが、家族構成に合わせた勤務時間帯が配慮されれば働きやすいと指摘しました。

「女性乗務員を増やす」対応待ったなし!

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名古屋会場での「女性運転士のトークセッション」。

 わが国全体で見ると、少子高齢化の進展により、生産年齢人口(15歳から64歳の人口)は、ピークだった1995年に比べ約15%も減少しています。経済ニュースで「人手不足」の文字を見ない日はないほど、どの業界でも働き手が足りません。

 一方でバス乗務員の総数を見ると、規制強化により1人が1日に運転できる時間や距離の制限が厳しくなったことなどもあり、1998年からの20年間で約2割増加しているのだとか。国全体で働き手が不足するなか、必要とされるバス乗務員の数は増えています。

 しかし、バス業界は外国人や高齢者の活用には限界があるわけで、女性の参入が不可欠です。女性が働きやすい環境を作り、全乗務員中わずか2%程度とされる女性乗務員を増やすことの重要性は、会場内の多くの関係者から聞かれました。

 高速バスマーケティング研究所の成定さんによると「今回のイベントは、現にバス乗務員を目指している人たちが、相性のいい会社を選ぶ場。納得して入社すれば、定着率も上がるだろう」と話します。一方、「志望者の総数を増やすには、バス乗務員という仕事の魅力を積極的に発信する必要がある」とも。乗務員不足の解消には、国やバス業界全体、それも現場の乗務員まで一丸となって取り組む必要がありそうです。

【了】

【グラフ】バス運転手の「所得」「労働時間」

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