エンジン本体が“回転”!? 航空ファンが驚いた「元祖ロータリーエンジン」茨城で発見!
ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功した1903年から第1次大戦までの約10年間で飛行機は大いに発展しましたが、それは航空機用エンジン発展の歴史でもありました。その間、一時だけ隆盛を誇った異形のエンジンがありました。
ファン騒然! アニメで描かれた回るエンジン
近年、実写映画化された人気マンガ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』。この作品はアニメ化もされており、2019年1月から始まった第1期のエンドクレジットで流れた映像が、一部の航空機ファンの間で話題になりました。
そのエンディングは、本編とは関係ない飛行船とクラシックな飛行機が登場する冒険活劇仕立てのファンタジー風な映像でした。後半では、1909(明治42)年7月に英仏ドーバー海峡の横断飛行に成功したブレリオXI単葉機が登場し、その背後から別の複葉機も顔を出すのですが、話題になったのはこのシーン。複葉機の機首に付いたエンジンが、プロペラと一緒にシリンダーごとグルグルと回転していたのです。
一見すると「エンジンが回転するなんてホント!?」と思ってしまいますが、実はこの動きは当時、実在したエンジンを正確に再現したものです。放送当時はそれを見た飛行機ファンが驚いてSNSなどで発信していました。
アニメファンや航空機ファンをざわつかせたこの機体は、「甲式一型練習機」といいます。元は大正時代に造られた機体で、1918(大正7)年に旧日本陸軍がフランスから輸入した3機のニューポール81E2練習機を元に国産化したものです。
埼玉県の所沢航空発祥記念館には、実機の一部やエンジンと共に完全復元のレプリカも展示されています。ちなみに当時の日本陸軍では航空機の製造会社ごとに型式を命名しており、甲式はニューポール社で乙式はサルムソン社、丙式はスパッド社、丁式はファルマン社、戊式はコードロン社を示していますが、これらは全部フランスのメーカーです。
当時、ヨーロッパ諸国の軍と比べて飛行機の導入が遅れていた日本陸軍は、第1次世界大戦後の1919(大正8)年1月にフランスからフォール中佐を団長とした57名の航空教育軍事使節団を招聘。そのときに練習機として使われたのが、このニューポール81E2でした。そのため初期の日本の航空隊は、機材も運用もフランスの影響を強く受けていたといえます。
「ノーム・エ・ローヌ社は~ル・ローヌ社を買収合併してノーム・エ・ローヌ社と改名」
どのへんが改名?
ダンタリアンの書架(2011 テレビ東京)でも主人公の乗る機体のエンジンが回転するシーンが描写されていましたね。