ハリアー奮戦で「スキージャンプ+VTOL機」英国式が世界標準に! 40年前の“戦訓”

今から40年前の1982年、南大西洋の小島を巡ってイギリスとアルゼンチンが戦いました。そのとき、イギリスが送り込んだのが軽空母「インヴィンシブル」。同艦が戦果を上げ、世界から注目されるようになった経緯をひも解きます。

正規空母を持てなくなったイギリスの決断

 2022年はイギリスとアルゼンチンが南大西洋にある小島の領有権を巡って戦ったフォークランド紛争からちょうど40年の節目の年です。1982(昭和57)年、フォークランド諸島(アルゼンチン名はマルビナス諸島)の領有権争いが引き金となり、ともに親米の西側国家同士が激突した戦いとして、様々な戦訓を後世に遺しました。

 その戦訓には、当初、芳しくない下馬評もあったなかでそれを覆し、真価を発揮した1隻の軍艦もありました。その名は「インヴィンシブル」。イギリス海軍の軽空母です。いったいどんなバックストーリーがあったのか見てみましょう。

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1990年12月、アメリカ海軍のノーフォーク基地に入港するイギリス空母「インヴィンシブル」(画像:アメリカ国防総省)。

 第2次世界大戦の終結後、イギリスの経済は低迷を続けていました。経済の低迷は国家財政にも影響を与え、それは国防予算にも影を落とします。その結果、維持と運用に莫大なコストがかかる正規空母、いわゆる艦隊空母の保有が難しくなります。かつて「七つの海の覇者」としてその名を世界に轟かせ、「空母発祥の国」としての足跡を軍事史に刻んできた同国海軍の衰退は、まさしく栄枯盛衰のひとコマといえるものでした。

 しかし海洋立国のイギリスにとって、シー・レーンの防衛と維持は国家存亡にかかわる重大事項でした。そこで、建造費、維持費、運用費のこれら全てが高コストの艦隊空母に代わる、低コストの軽空母の建造を計画します。

 とはいえ、カタパルトの装備が困難なうえ飛行甲板が狭い軽空母ではCTOL(通常離着陸)機の運用は難しく、垂直離着陸が可能なヘリコプターを運用するヘリ空母にしかなりません。そうなると、対潜任務や揚陸任務などには対応できたとしても、アメリカやフランスの正規空母が行うような艦隊や輸送船団の防空には使えないものになってしまいます。

 ところが、イギリスには切り札がありました。それは、世界で初めて実用機として成功したSTOVL(短距離離陸/垂直着陸)機、「ハリアー」シリーズです。

【写真】スキージャンプ甲板を使って発艦する「シーハリアー」ほか

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コメント

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1件のコメント

  1. なるほど。スキージャンプを採用すると、オートバックスのタイヤが出てきて、艦隊少女になるわけですね。