「世界で最も静かな飛行機」どう実現? 求められた“夜のジャングル飛んでもバレない”性能

アメリカには「世界一静かな飛行機」とも呼ばれる機体が存在します。それはYO-3A「クワイエット・スター」。そのまんまな愛称が付けられたこの機体、何のために作られたのか、誕生の経緯と運用についてひも解きます。

エンジン排気も最小限に抑制

 YO-3Aは、コックピットに2人が乗り込むエンジン1基搭載の小型単発機でした。コックピットの前席には暗視スコープが取り付けられた偵察員席が設けられ、後席に操縦士が搭乗するタンデム二座構成。機首に搭載するのはコンチネンタル社製「IO-360D」水平対向6気筒エンジンで、出力は210馬力でした。ちなみに、このエンジンは標準的な4人乗りの軽飛行機などで広く使われている傑作航空機用エンジンです。

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1985年9月6日カリフォルニア州サリナス空港に駐機するYO-3A「クワイエット・スター」。尾翼にはNASAの文字が描かれている(細谷泰正撮影)。

 なお、小型ピストン機が出す騒音は、エンジン排気と、プロペラ先端から生まれる空気の乱れから出る異音がそのほとんどを占めていました。逆にいうと、これらの対策を施せば、騒音のかなりの部分を抑制できるといえます。そこでYO-3Aでは、エンジン出力は減速比3.33:1のベルト・ドライブで減速し、プロペラをゆっくり回すことで極力、異音が出ないようにしていました。

 また、YO-3Aは当初、地上でピッチ角の調整が可能な木製6枚ブレードのプロペラを装着していましたが、後に木製3枚ブレードからなる定速機能の付いた可変ピッチプロペラへと交換されています。

 エンジン排気は、防音対策と防炎対策のため排気管を胴体側面に延長して十分温度を下げた状態で尾部から排出する仕組みです。エンジン・カウリングも風切り音を抑えるため、エンジン冷却用の空気取り入れ口を最小限の大きさに抑えたものを採用。ただ、これについては上空を巡航する際に最適化するように形状を整えていたため、暖地のベトナムでは地上運転時にオーバーヒートしやすいことが判明しています。そのため、出発時は地上での運転時間が長くならないよう、航空管制と連携してエンジン始動が行われたそうです。

【コックピット内部も】ゆっくり飛ぶYO-3Aの姿ほか

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