ワールドカップ出場権が引金に!「サッカー戦争」 英雄まで生まれた史上最後の空戦とは?

オリンピックとともに平和の祭典のひとつとして称されることの多いサッカー・ワールドカップ。しかし、この大会への出場権をかけた試合が発端となって本当の戦争が起きたことがあります。

サッカー戦争の結末

 なお、サッカー戦争自体はこの空戦が起きた翌日、7月18日の夜にいったん停戦となります。その後、小競り合いは続いたものの、8月3日にはホンジュラス領内からエルサルバドル軍が撤兵を完了させたことで戦争は終わりました。

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1969年7月、エルサルバドル陸軍の空挺部隊を視察する同国大統領(画像:イギリス政府公文書館)。

 一方、エンリケス大尉は前述したような戦果によって少佐に昇進。さらに「プロペラ戦闘機同士の最後の空戦に勝利したパイロット」の称号を得るに至っています。加えて、乗機のヴォートF4U-5NLにも「プロペラ戦闘機を撃墜した最後のプロペラ戦闘機」という称号が付与されました。

 その後、エンリケスの乗機だったF4U-5NLは1981年に退役。現在はテグシガルパ航空博物館に展示されています。また彼自身は大佐まで昇りつめ空軍を退役、2003年10月13日に「ホンジュラス国家英雄」の称号を授与されましたが、3年後の2006年6月25日、同国の首都テグシガルパで亡くなりました(享年67歳)。

 各国の優秀なサッカー選手らが集い、母国の名誉をかけて競うワールドカップは例えるなら「平和的戦争」です。しかしそれをきっかけに、「流血の戦争」が起きてしまったのは、あまりに悲しい出来事でした。

【了】

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Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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