日本では体験できない!「列車に乗ったまま船へ」 鉄道連絡船の車両航送
車両を航送する鉄道連絡船は、日本では廃止となりましたが、海外では現役。列車に乗ったまま船へ乗り込む希少な航送も存在します。そのひとつ、イタリア本土とシチリア島を結ぶメッシーナ海峡の連絡船に乗りました。
日本ではかつて青函航路と宇高航路で車両航送
鉄道連絡船は、海や川、湖で隔てられたアクセスを可能にする手段として、世界中で活躍してきました。日本の鉄道連絡船は青函航路や宇高航路が有名で、貨車や郵便車、荷物車をメインとした「車両航送」も行っていました。ただ既に廃止となって久しく、客船タイプとしてJR西日本の宮島航路が現存するのみです。
青函航路と宇高航路は太平洋戦争後の一時期、客を乗せたままの車両航送を実施したことがあります。青函航路では、GHQの命令により連合軍専用列車「ヤンキー・リミテッド」が、宇高航路では1950(昭和25)年から1955(昭和30)年まで夜行列車が、それぞれ車両航送されていました。しかし洞爺丸事故や紫雲丸事故を受け中止となり、安全の観点から「旅客は船室にいるべき」との運輸省(当時)の見解もあって、一時的なもので終了したのでした。
世界に目を向けてみましょう。車両航送する鉄道連絡船はヨーロッパ、アジア、南米など各地で存在していますが、ほとんどが貨車の航送で、旅客は別輸送です。旅客列車に乗車した状態で鉄道連絡船に乗り込む――そんな車両航送体験ができるのは、“渡り鳥コース”という別名を持つ、ドイツ北部のプットガルトからデンマークのロービュを結ぶルートが知られていました。しかし2019年にコースが変更されています。
そのほか航送体験ができるのは、中国の広東省と海南島のチュンチョウ海峡を結ぶ国鉄路線の連絡船や、イタリア本土とシチリアのメッシーナ海峡を結ぶ連絡船などがあります。私(吉永陽一:写真作家)は青函連絡船や宇高連絡船に乗船する機会がなく、でもせっかくならば体験をしたいと、2018年11月末に友人とメッシーナ海峡へ赴きました。
2005年に乗ったよ!😋
私は、昭和26年の8月に宇高連絡船の車両航送で、予讃線から列車に乗ったまま宇高航路、宇野線、山陽
線経由大阪梅田まで乗り換えなしで言った記憶があります。夏休みでしたが、船に閉じ込められた列車は
暑くて大変でしたが、列車1両につき2~3本の氷柱が立てられて、乗客の皆さんが代わる代わる手拭い
を押し当てていましたよ。車両航送は上り下り各1列車のみ運行で日付の変わった深夜に乗車するのが難
でしたが、連絡船の乗り換えも大変でしたから楽ちんな面もありました。ことに宇野港では第一桟橋に着
いた場合、乗車するホームが改札口近くの時は200m以上走って乗り換えるのは辛いものでした。
母の姉や従姉妹が京阪神に住んでいましたので、毎年夏冬休みに行っておりましたから、列車の旅の記憶
は沢山あります。