タイヤ会社が生みの親「スーパーコルセア」高性能なのにナゼ消えた? 根底に垣間見える米国の凄まじさ

世界三大タイヤメーカーのひとつである米グッドイヤーは過去、戦闘機を開発したことがあります。初飛行し、高性能だったのに大量生産されなかったそう。ただ、その経緯を見るとアメリカが持つ国としての底力を垣間見ることができました。

「スーパーコルセア」の大量生産なぜ消えた?

 F2G「スーパーコルセア」は1945年7月15日に初飛行します。約5000mという中高度域で、約700km/hの最高速度を叩き出し、抜群の視界を備えていたため、同機はすぐさま制式化され、量産型の本格生産も始められる手筈が整えられました。しかし、高性能っぷりを見せつけたF2Gが量産されることはありませんでした。

 というのも、初飛行の1か月後に大戦が終結したからです。その結果、F2G「スーパーコルセア」の本格生産は一転して中止となり、部分実験機や試作機を除く量産型は、わずか10機が生産されただけ留まりました。

Large 20221209 01
グッドイヤーF2G「スーパーコルセア」の飛行シーン(画像:アメリカ海軍)。

 とはいえ、見方を変えるとグッドイヤーはF4U「コルセア」を約4000機も生産しています。これは同機の総生産数1万2500機あまりのうち、3分の1を占める数です。なお、大戦中の日本軍戦闘機で第3位の生産数なのが中島飛行機(現SUBARU)の四式戦闘機「疾風」で約3500機。これよりも多い機数を航空機メーカーではないグッドイヤーが生産しました。

 加えて、同社は前述したような大幅な改修でもはや別機ともいえるほどの高性能機「スーパーコルセア」の開発まで行っていたのです。とうぜん本業の方で軍用車両や航空機のタイヤを生産しながら、こうしたことを行っていたわけであり、このような大量生産能力と技術開発力こそ「デモクラシーの兵器工場」を自負する「マスプロ大国」アメリカのすごさを物語る一片といえるのではないでしょうか。

【了】

【写真】後ろ姿は案外違う? 「スーパーコルセア」を色んなアングルから

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス