シェアさせて下さい「核」を 冷戦下カナダの選択 政争の具になった搭載機「ヴードゥー」とは

1960年代初頭、東西冷戦の最前線であったカナダはアメリカと核シェアリングすることを決めます。それに伴い導入されたのが、CF-101戦闘機。同機を導入した結果、カナダでは政権交代まで起きたそうです。

核ロケット導入で政権交代まで起きた!

 カナダが、わざわざCF-105「アロー」の開発を止めてアメリカ製のF-101「ヴードゥー」を導入することにした理由のひとつが、冒頭に記した核ロケット弾の運用能力です。想定されていたのは無誘導のAIR-2「ジニー」でしたが、実際に核弾頭を装備し、さらに取得コストについてアメリカ側の許諾を得るためには時間をかける必要がありました。

 ただ、その一方で、アメリカとカナダの防空システムと指揮命令系統を統合した北米防空司令部「NORAD」が、1958(昭和33)年より運用を開始します。そのNORADにリンクするアメリカ軍運用のレーダー基地が、北極海沿岸や太平洋岸などカナダ国内に計11か所設けられていましたが、これらのレーダー基地をカナダ軍に移管するとともに、カナダがF-101戦闘機を「CF-101」の名称(Cはカナダの意味)で導入することが1961(昭和36)年に両国間で合意されます。

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カナダ空軍のCF-101B「ヴードゥー」戦闘機(細谷泰正撮影)。

 しかし、この時点でCF-101への核ロケット弾搭載に関しては未解決のままでした。これが後にカナダ政界を揺るがす大問題に発展します。理由は、CF-101の武装にありました。

 本来、CF-101は前出したように核弾頭付きのAIR-2「ジニー」空対空ロケット弾を搭載・運用できるから選ばれたのに、それができないとなると、他の戦闘機でもよかったというハナシになります。この時点で、CF-101の装備は通常炸薬のAIM-4D「ファルコン」空対空ミサイルだけという状態でした。

 これではカナダの防衛には不十分であるとされたほか、こうしたCF-101でなくても良いという観点から先のCF-105「アロー」の開発中止への疑念も重なり、大きな政治問題と化したのです。結果、カナダではこの問題をきっかけに政権交代が起きました。

 その後、新たに政権の座に就いた自由党政権は1963(昭和38)年8月16日、アメリカと新たな合意を結び、ようやくCF-101に核弾頭を搭載したAIR-2A「ジニー」空対空ロケット弾が搭載できるようになりました。

 ただし、このときの合意では、使用する核弾頭はカナダが保有するとは書かれていませんでした。

【F-4「ファントムII」の面影も 特別塗装のカナダCF-101戦闘機 飛行シーンも】

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