日本にキター! 貴重な技術遺産「九五式軽戦車」20年ぶりの再来日に密着 操縦手の思いは?
「ホンモノ」を触れることの重要さ
筆者が初めて九五式軽戦車に触れたときの第一声は「熱っ!」という悲鳴のような言葉でした。当時のイギリスは9月で気温も高く、雲ひとつない晴天。九五式軽戦車は強烈な日差しと、走行後のエンジンの余熱で車体の一部は高温になっていたのです。筆者は運悪くその部分にファーストタッチをしてしまったようでした。ちなみに今回の12月の帰国で触った時の第一声は「冷たっ!」です。
ただ、こうした経験から筆者は九五式軽戦車が鋼鉄の塊であり、間違いなく戦闘車両として作られたものであることを実感しました。これは、この戦車に関する書物をいくら読んでも感じられないことであり、筆者にとっては何にも勝る体験だったと考えます。
今回、NPO法人がこの九五式軽戦車の入手にこだわったのも、筆者のように本物を見たり触ったりすることで体験できることがあるからです。「百見は一触に如かず」の言葉の通り、国産戦車や防衛技術の理解を深めるには、九五式軽戦車のような存在は欠かすことができないといえるでしょう。
無事の日本帰国を達成したことで、NPO法人代表の小林氏は次のように述べています。
「この九五式軽戦車のお披露目は、来春クラウドファンディング支援者を招待して御殿場市内で行う予定です。そこで皆さんとともに、この九五式軽戦車のエンジン音を聞いて、これまでの活動の思いなどを一緒に語れるのを楽しみにしています。なお、今回の日本上陸はあくまでも通過点に過ぎません。この戦車の終の住処になるであろう公設の博物館を実現させるために、今後も地に足の付いた活動を続けていきたいと思っています」
NPO法人の活動の最終目的は、この九五式軽戦車を展示できる公設博物館の設立です。今回、帰国のために行ったクラウドファンディング(「READYFOR」にて12月26日まで実施中)は当初の目標額こそ達成しましたが、今後の活動のために現在も支援者を継続して募集中です。
NPO法人の活動内容に賛同し、九五式軽戦車を含めてサポートしたいと思う方は、是非とも、連絡してみてください。筆者も引き続き注視していこうと思います。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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