日本のエアラインにどうですか? 国内導入ゼロのレア機が相次ぎ飛来した22年 メーカーの狙い
同じクラスの旅客機保有ナシの日本でナゼ今「売り込み」?
しかし現在、日本にはA220-300と195-E2クラスの座席数の機体を使う航空会社は、ほとんどありません。
たとえばIBEXエアラインズのCRJ700は70席。フジドリームエアラインズではERJ-170/75が76~84席。J-AIRのERJ190は95席です。座席数がこれらより多いボーイング737は、国内の航空会社だとおおむね118~177席。エアバスA320はANA(全日空)仕様機が146席、国内のLCC(格安航空会社)が180席程度といったところです。
A220-300と195-E2はこうした国内航空会社の座席数のニッチを埋めることもできるサイズで、ともにもう一回り小さい姉妹機もあります。日本でもある程度のニーズが期待できると見られているのかもしれません。
旅客機の経済寿命は約20年から25年といわれており、航空会社では、一つの機種の退役が始まる5年ほど前から、後継の機種選定が始まります。
先述の航空会社のなかには導入から10年を過ぎた機種もあり、いずれ更新の計画が立てられます。今回実施されたツアーは、更新が必要となる近い将来へ照準を合わせた、エアバスとエンブラエルの“先行投資”と言ってもよいでしょう。一方、日本の航空会社にとっても国内にいながら視察できるメリットがあります。
エンブラエルは、今後20年における日本国内の市場予測について、150席以下の旅客機について、新規納入の需要は約120機ある可能性があるとしています。コロナ禍、そして「三菱スペースジェット」の開発の事実上凍結をはじめ、ここ数年でも大きく変わった日本のリージョナルジェット市場。もし、A220と195-E2の次に来日するとすれば、そのときどのような変化が起きているのでしょうか。
【了】
Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。
コメント