ついに攻勢開始の「中国製旅客機」たち 世界を席巻できるのか? 独自路線ゆえ実用化に壁

我が道を行く中国なぜ?

 COMACは大掛かりな展示ブースを構え、ARJ21やC919の大型模型を持ち込みながらも、既に初飛行を済ませていたARJ21の実機は出展しませんでした。欧米のメーカーでは、機体のみならずエンジンや小部品まで、製品の安定した可動が見込まれると実物を出展するのが常です。

 筆者はこのARJ21の実機出展をしない方針について、「ARJ21は輸出できる段階でないのでは」「MD-90の模倣がバレたり、特許問題を指摘されたりするのを恐れているのか」と憶測が流れていたことを記憶しています。また、「需要は中国国内路線で足り、海外セールスは必要ないのだろう」との見立てもありました。

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COMACの「ARJ21」(画像:COMAC)。

 そんなARJ21をトランス・ヌサ航空が国外勢として初めて導入したのは、同航空の株主が中国系企業であることが背景にある、との見立てがあります。拡大する中国資本が海外を席巻し続ければ、今後、自国産旅客機の輸出へ中国がいっそう攻勢を強めるのは容易に想像できます。

 その反面、“世界標準”といえる米連邦航空局(FAA)の型式証明をARJ21とC919が取得していないのは、セールスへ大きなネックになるのは間違いないでしょう。

 型式証明を取得した旅客機はその対象国において、機体ごとにメーカーが(取得前より大幅に項目が省略された)所定の検査を実施するだけで航空会社へ引き渡せるようになります。いわば実用化には不可欠なプロセスということができますが、先述のとおり国や地域ごとに取得する必要があるため、中国以外の航空会社で実用化する場合には、別途各国でこの証明の取得が不可欠になるのです。

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