直通運転すべて寸止め? 「新木場駅」どうしてこうなった 3社乗り入れ「湾岸の拠点駅」構想
新木場駅の将来の可能性は
こうして新木場を通る3つの路線はバラバラになって現在に至りますが、京葉線とりんかい線の直通運転「復活」については、JR東日本が進める「羽田空港アクセス線」構想によって実現するかもしれません。
現在、2029年度の開業に向けて東京駅から羽田空港に乗り入れる「東山手ルート」の建設が進んでいますが、この他の構想ルートとして、りんかい線への連絡線を設けて渋谷・新宿方面に乗り入れる「西山手ルート」、そして新木場から京葉線に乗り入れる「臨海部ルート」もあります。
ただ、JR~りんかい線~JRという乗車ルートが可能となると、どうやって両社で運賃収入を配分するのかという問題が壁となっており、実現の目途は立っていません。一時はJR東日本がりんかい線を買収するという報道も流れましたが、コロナ禍もあって実現は不透明です。
また千葉県は以前より、りんかい線と京葉線の相互直通運転を要望していますが、「当面は有料列車に限定して直通し、りんかい線の運賃分を料金に上乗せする」というアイデアで運賃問題を解決するという提案も行っています。
この他2016(平成28)年の交通政策審議会答申第198号では、千葉方面と臨海副都心のアクセス向上のため、新木場から東へ京葉線を増線し、市川塩浜~津田沼間に京葉線と総武線をつなぐ「接続新線」を整備し、りんかい線が直通して新木場から津田沼方面に乗り入れるという構想があります。
コロナ後の需要減をふまえると今後の複々線化はかなりハードルが高いと言わざるを得ませんが、むしろ需要減により、複線のままでも列車本数の一部をりんかい線直通に振り向ける余裕が生まれるかもしれません。
はたして新木場駅のJR・りんかい線の連絡線が活用される日が来るのか、今後の動きに注目です。
【了】
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx
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