“偉大なるも不遇” 名航空技師「ハインケル」が生んだ飛行機4選 ジェット機&ロケット機は世界初!

世界初のジェット機He178とHe280

 ロケットエンジンの開発と並行してハインケルン博士は、ジェットエンジン開発の第一人者である、ハンス・ヨアヒム・パプスト・フォン・オハインを招き自社でジェット推進の航空機開発も行っています。その成果が結実したのが1939年8月27日に初飛行したHe178です。

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世界で初めて飛行したジェット機He178(画像:アメリカ空軍)

 これはジェットエンジンを搭載した航空機としては世界初の進空で、同じくイギリスで開発されていたグロスターE.28/39の初飛行より1年も早いものでした。

 とはいえ、当時のドイツ空軍の反応は芳しくないもので、これについて戦後、ハインケル博士は「冷や水を浴びせられたようだった」と回想しています。

 ただ、ハインケル社はこれに懲りずに改めて新型のジェット機を開発しています。それがHe280でした。同機は流線形の胴体に射出座席を備え、ドイツ機として初めて前輪式の降着装置を採用。機首に20mm機関砲3門を搭載した同機は、後に続くジェット戦闘機の原型ともいえる機体で1941年3月30日に初飛行し、世界で初めて飛んだジェット戦闘機になりました。

 ですが、調子が良かったのはここまでで、自社製エンジンHeS 8の信頼性が低かったことから実用化に向けた開発は難航、結局エンジンをユンカース社製ユモ004に変更しています。しかし、同エンジンは、後発のメッサーシュミット社製Me262ジェット戦闘機に搭載予定だったことが大きな影響を及ぼしました。性能的にMe262はHe280よりも優れていたため、結局ドイツ空軍はMe262の方を採用し、He280は試作のみで終わりました。

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コメント

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1件のコメント

  1. まるで機会に恵まれなかっただけの傑作機のように聞こえるけど、実際は飛行特性がかなりひどくて事故だらけのものだったのだが