インドのフランカーと訓練の F-2戦闘機に「爪痕」? 垂直尾翼の記念塗装 空自の心意気
ステッカーシールだから作業日数はわずか3日
ちなみに、今回の記念塗装機では、従来のような機体表面への塗装ではなく、ステッカーシールを貼る形で施工されたのも特徴です。これは最近のクルマや民間旅客機などで用いられているラッピングの手法で、専用プリンター(今回は外部の業者に依頼して製作)で印刷された巨大なシールを該当箇所に手作業で貼り付けていくものです。
航空自衛隊によると、今回F-2戦闘機に用いたステッカーシールは外部の業者に依頼して製作したそうですが、塗装と違ってより細かいタッチの表現が可能となり、図柄内のグラディエーションによる陰影が見事に表現されていました。
また、ステッカーシールのもうひとつの利点として、施工時間も短くなる点が挙げられます。従来の塗装の場合は色ごとでマスキングと塗装を繰り返すため、機体全体を塗る場合は数週間にも及ぶ作業が必要となり、作業期間中その機体を飛ばすことはできませんでした。しかし今回、ステッカーシールを使った特別塗装機の施工は、3名の隊員(岡野2曹、内藤3曹、三浦3曹)によって約3日で済んだとのことです。
また当初、記念塗装機は単座型(ひとり乗り)F-2Aの1機だけでしたが、後日複座型(ふたり乗り)のF-2Bでも同じデザインの記念塗装機が用意され、1月24日にはインド空軍の西部航空コマンド司令官パンカジ・モーハン・シンハ空軍中将を後席に乗せて飛行しています(操縦は航空自衛隊のパイロット)。
「ヴィーア・ガーディアン」の記念塗装機は日印共同訓練の期間中だけしか存在しないレア機で、訓練終了後には通常の状態に戻してしまうそうです。デザイン担当の岡野2曹は「記念塗装やパッチ等は、隊員の士気向上、団結を目的に行われています。ファンの方々も同じ思いで楽しんでいただけたら大変うれしく思います」とコメントしてくれました。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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