アメリカじゃ税関も軍隊並み? 密輸取締り用「早期警戒機」が必要な理由&スゴイ実績

海上自衛隊も使用するベストセラー対潜哨戒機のP-3「オライオン」。約800機も造られた同機の中で珍機といえるのが、中古P-3に早期警戒レーダーを乗せた「センチネル」です。税関が運用するというレア機、どんな機体なのでしょう。

P-3AEWの相棒、P-3LRTとは?

 アメリカ税関局がP-3AEW&C「センチネル」を採用したのは、当時、メキシコやカリブ海諸国など南部で、輸送機や船を使った不法入国者の越境や麻薬の密輸などが頻発しており、それに手を焼いていたからでした。

 税関局はP-3B改造の「センチネル」を8機導入。1990年代に入ると、名称も末尾の「&C」がなくなり、P-3AEWに統一されています。その後、2001(平成13)年に発生したアメリカ同時多発テロの教訓から、国土安全保障省が新設されると、その傘下に統合され、新たに税関・国境取締局ができ、そこで運用されるようになっています。

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E-2C「ホークアイ」早期警戒機。このレーダーがP-3AEWに移植されている。写真の機体は航空自衛隊のもの(画像:航空自衛隊)。

 2023年現在、アメリカ税関・国境取締局では、海や空からの密入国や密輸の取り締まりのために「AMO(Air and Marine Operation)」と呼ばれる航空機と船舶の合同作戦チームを運用しています。

 広大なアメリカの周辺海域と国境付近の上空を監視するAMOの組織は大規模で、職員総勢1800人、航空機240機、船舶300隻を擁します。保有する航空機の多くが双発プロペラ機パイパーPA-42「シャイアン」や小型ジェット機セスナ「サイテーション」で占められるなか、唯一の4発機が前出のP-3改造機です。

 AMOには前述した空中早期警戒モデルのP-3AEWだけでなく、長距離追跡を行うP-3LRT(Long-Range Tracker)というモデルも存在し、この2機種がタッグを組んで上空からの監視に当たっています。

 P-3LRTは、P-3AEWと同じく既存のP-3哨戒機から対潜装備を取り去った中古機転用モデルで、P-3AEWのような特徴的な円盤レーダーなどは備えていませんが、APG-66捜索レーダーを備えています。これを使って地上や海面などを捜索・追跡するのが役割で、P-3AEWが発見した疑わしい目標の情報がP-3LRTや海上の船舶チームに提供されることで、航空機と船舶が連携して取り締まりを行うようになっています。

【コックピットも】原型P-3CとP-3AEW、P-3LRTを見比べ

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