踏切の脇に「エレベーター付き跨線橋」なぜ? 踏切渡るよね… 実は国内初の立派な施設
本郷通り~明治通り結ぶ陸橋案もあったが…
しかし、それならわざわざ跨線橋を使おうとする人は少数です。筆者(小川裕夫:フリーランスライター・カメラマン)はかつて北区の関係者から、梶原踏切について話を聞いたことがあります。その際、区議会議員などから同踏切を廃止する意見も出ていました。
2000(平成20)年ごろには、線路をオーバークロスしつつ、線路北側の大通りである明治通りと、南側の本郷通りを陸橋で結ぶ案があったようです。梶原踏切は明治通りと本郷通りに挟まれた場所にありますが、もし陸橋が実現していれば踏切を廃止することはできそうです。
しかし陸橋が完成しても、その間のエリアの住民には恩恵がありません。それどころか頭上をクルマが通過していくことになれば、住民たちは日照権や景観、振動・騒音といった問題に悩まされたことでしょう。
この陸橋案はどれほど実現性が高かったのか――今となっては知る由もありませんが、2023年1月現在は「上中里さわやか橋」と梶原踏切が共存しているわけです。
2015(平成27)年、上野東京ラインが開業すると、東海道本線の電車も乗り入れるようになりました。踏切の脇には「事故が多発しています。エレベーターをご利用ください」という看板も出ていますし、利用して損は全くなさそうです。眼下が車両センターで開けているので、跨線橋と侮るなかれ周辺を一望できます。
【了】
Writer: 小川裕夫(フリーランスライター・カメラマン)
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。官邸で実施される首相会見には、唯一のフリーランスカメラマンとしても参加。著書『踏切天国』(秀和システム)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)、『東京王』(ぶんか社)、『私鉄特急の謎』(イースト新書Q)など。
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