さらば「ワイドビュー」特急 キハ85系の引退迫る JR東海入魂の快適性 新型にも劣らず!
高山本線のスピードアップに貢献
具体的には、座席部分を通路より20cm高めたハイデッカー構造とし、窓の縦幅も95cmと非常に大きく取りました。大きな側窓にはブロンズ着色曲面ガラスを採用しています。座席間隔は、キハ82系の91cm(普通車)から9cm拡大した100cmで、これはJRグループの特急普通車としては、現行でも最大級の広さです。なお、普通車も含めて床には通路と座席部分の双方にカーペットが敷かれ、高級感を演出しています。
また、デッキ部分も「ホテルのロビー」をイメージしています。床には格子模様の敷物が敷かれ、天井にはダウンライトが設けられています。路線の性質を考慮して、スキーやゴルフバックを置ける荷物置き場もあります。また、情報化時代に対応し、LED式の車内情報案内装置がデッキ自動ドアの上に設けられました。
化粧室も「リゾートホテルの化粧室」をイメージ。洗面室は人工大理石と陶器を使用し、タイル張りもなされたゴージャスなデザインです。グリーン車の洋式トイレには便座カバーが設けられ、自動的に巻き取られるものが設置されました。
車両性能としては、高い最高速度と勾配区間に対応するために、中速域で大きな牽引力が得られることが重視されました。車体はステンレスを用いて軽量化が図られ、エンジンにアメリカのカミンズ社が開発した(製造はイギリス)350馬力の機関を2台搭載し、最高速度は当時の特急電車に匹敵する120km/hでした。
この結果、180馬力エンジンが2台で鋼製の車体だったキハ82系と比較して、重量あたり2倍以上の馬力数となりました。変速機も3段6要素の直結2段式を採用したことで、これまでの気動車では見られない優れた登坂性能や運転操作性も実現しています。高山本線のスピードアップに貢献し、それまで2時間50分かかっていた名古屋~高山間を、当初は2時間半、その後は2時間9分まで短縮したのです。
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