名戦闘機MiG-17は民間エアショーでも映えた! でも手放したワケ チームに聞いた“致命的欠点”

元「トムキャット」乗りによるMiG-17の評価は?

 こうして傑作機となったMiG-17の生産数はなんと1万機を超えており、ポーランドや中国ではライセンス生産も行われています。なお母国ソ連だけでなく、その友好国にも多数が輸出されており、この機体を運用していた国は約20か国にも上ります。

 そのため、20世紀後半に発生したいくつかの戦争に度々参加しており、特に1960年代のベトナム戦争ではアメリカ製戦闘機と空中戦を行い、この機体よりも新しく開発された新型機の撃墜記録まで打ち立てています。当時、アメリカ軍にとっては旧世代機に自慢の高性能機が撃墜された事実は相当にショッキングな出来事だったと伝えられています。

 しかし、流石の名機も時代と共に陳腐化していき、2023年現在はアフリカ諸国や北朝鮮(中国でライセンス生産されたJ-5)で少数が運用されているだけとなっています。

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密集編隊でローパスを行う「ブラックダイヤモンド・ジェットチーム」のLim-5とLim-6。これらはポーランドのMiG-17ライセンス生産モデル(布留川 司撮影)。

 軍用機としては晩年を迎えているMiG-17ですが、アメリカにおいては民間籍で飛行している機体が僅かですが存在しており、その中にはエアショーでの演技飛行を行っている機体もあります。

「ブラックダイヤモンド・ジェットチーム」はアメリカで過去に活動していた民間アクロバット飛行チームです。このチームが保有していた機体は100%民間資本で運営されていましたが、軍で使われていたジェット機を自前で複数取り揃えており、それらを使った編隊飛行によるアクロバット飛行をエアショーなどのイベントで行っていました。使用する機体は、チェコ製のL-39「アルバトロス」とアメリカ製のT-33「シューティングスター」の両ジェット練習機で、このほかにMiG-17のポーランド生産モデル「Lim-5」と「Lim-6」を1機ずつ保有していました。

 アメリカ空軍や同海軍の退役パイロットも「ブラックダイヤモンド・ジェットチーム」に所属しており、Lim-5とLim-6の2機のミグ編隊は元F-14「トムキャット」のパイロットが操縦。1人はアメリカ海軍でもっとも長くF-14を操縦したデイル・スノッドグラス氏で、もう1人は過去に厚木基地のトムキャット飛行隊で勤務経験のあるベテランパイロットでした。

 エアショーでは、MiG-17の高速性能や機動性が遺憾なく発揮されており、低空飛行や距離数mの密集編隊飛行での演技も安全に行うことができました。「エアショーでジェット機による高速飛行するには良い機体」(デイル・スノッドグラス氏談)とパイロットもコメントしています。

【コックピットも】エアショーでデモ飛行する民間機仕様のMiG-17ほか

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1件のコメント

  1. 古いんだし割と普通な理由…