名戦闘機MiG-17は民間エアショーでも映えた! でも手放したワケ チームに聞いた“致命的欠点”

1万機以上が生産された旧ソ連製の傑作戦闘機MiG-17。ベトナム戦争などでアメリカ軍戦闘機を苦しめた高性能機ですが、民間機として飛ばすとなると、ある致命的な欠点が浮き彫りになったそうです。

民間機市場でミグシリーズが売買されない理由

 しかし、よくよく話を聞くとこれはあくまでも「エアショーで」という前提が付くとのこと。逆に言うとMiG-17は興行での展示飛行以外には使えない機体だそうです。

 その理由はコストの高さと飛行時間の短さにあるといいます。のちに「ブラックダイヤモンド・ジェットチーム」は、民間請負会社「ドラケン・インターナショナル」に人材や機体をそのまま引き継ぐ形で姿を変えましたが、その際にLim-5とLim-6だけは民間の航空機市場に売りに出されています。

Large 20230204 01
MiG-17のポーランド版Lim-6のパイロットを務めたデイル・スノッドグラス氏(布留川 司撮影)。

 なぜ、運用コストが高く、なおかつ飛行時間が短いのか。それは前線戦闘機として開発されたため、航続距離・飛行時間が短くても問題ないと判断されたからです。実際、「ドラケン・インターナショナル」は会社立ち上げの時に、MiG-17とは別にポーランドから退役したMiG-21戦闘機も購入していますが、こちらも任務での飛行時間が1時間程度と短いため、訓練に適さないという理由から組み立てすら行わずに保管状態となっています。

 MiG戦闘機といえばソビエトの戦闘機を代表する戦闘機の名前でしたが、その最新型であるMiG-29も航続力の短さなどが理由で生産数は伸び悩み、改良型の開発も停滞しています。代わりに、より大型で航続距離も長いスホーイの戦闘機「フランカー」シリーズの方が注目されており、今のロシア軍だけでなくインドやマレーシア、中国といった海外まで輸出されています。

 MiG-29とスホーイ「フランカー」の両戦闘機の差は、運用思想の違いから生じたものですが、結果、冷戦が崩壊し、有償で購入しようとしたときには後者の方が圧倒的に支持される結果となっています。

 前出のデイル・スノッドグラス氏のコメントのように、MiG-17の飛行性能はむしろ良いのです。それでも、足の短さは致命的だったといえるでしょう。今後、より一層、戦闘機には優れた多用途性や滞空性能などが要求されるようになることを鑑みると、現在のロシアを代表する戦闘機の称号が「ミグ」ではなく「スホーイ」になったのは必然といえるのかもしれません。

【了】

【コックピットも】エアショーでデモ飛行する民間機仕様のMiG-17ほか

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 古いんだし割と普通な理由…

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  3. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  4. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開