名戦闘機MiG-17は民間エアショーでも映えた! でも手放したワケ チームに聞いた“致命的欠点”

民間機市場でミグシリーズが売買されない理由

 しかし、よくよく話を聞くとこれはあくまでも「エアショーで」という前提が付くとのこと。逆に言うとMiG-17は興行での展示飛行以外には使えない機体だそうです。

 その理由はコストの高さと飛行時間の短さにあるといいます。のちに「ブラックダイヤモンド・ジェットチーム」は、民間請負会社「ドラケン・インターナショナル」に人材や機体をそのまま引き継ぐ形で姿を変えましたが、その際にLim-5とLim-6だけは民間の航空機市場に売りに出されています。

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MiG-17のポーランド版Lim-6のパイロットを務めたデイル・スノッドグラス氏(布留川 司撮影)。

 なぜ、運用コストが高く、なおかつ飛行時間が短いのか。それは前線戦闘機として開発されたため、航続距離・飛行時間が短くても問題ないと判断されたからです。実際、「ドラケン・インターナショナル」は会社立ち上げの時に、MiG-17とは別にポーランドから退役したMiG-21戦闘機も購入していますが、こちらも任務での飛行時間が1時間程度と短いため、訓練に適さないという理由から組み立てすら行わずに保管状態となっています。

 MiG戦闘機といえばソビエトの戦闘機を代表する戦闘機の名前でしたが、その最新型であるMiG-29も航続力の短さなどが理由で生産数は伸び悩み、改良型の開発も停滞しています。代わりに、より大型で航続距離も長いスホーイの戦闘機「フランカー」シリーズの方が注目されており、今のロシア軍だけでなくインドやマレーシア、中国といった海外まで輸出されています。

 MiG-29とスホーイ「フランカー」の両戦闘機の差は、運用思想の違いから生じたものですが、結果、冷戦が崩壊し、有償で購入しようとしたときには後者の方が圧倒的に支持される結果となっています。

 前出のデイル・スノッドグラス氏のコメントのように、MiG-17の飛行性能はむしろ良いのです。それでも、足の短さは致命的だったといえるでしょう。今後、より一層、戦闘機には優れた多用途性や滞空性能などが要求されるようになることを鑑みると、現在のロシアを代表する戦闘機の称号が「ミグ」ではなく「スホーイ」になったのは必然といえるのかもしれません。

【了】

【コックピットも】エアショーでデモ飛行する民間機仕様のMiG-17ほか

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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1件のコメント

  1. 古いんだし割と普通な理由…