陸自「戦闘ヘリもういらない」方針、国内の航空防衛産業を革新? 必要なのは“団結”か
2022年12月に閣議決定の「防衛力整備計画」で陸上自衛隊の攻撃ヘリと観測ヘリを用途廃止し、無人機に置き換える方針が打ち出されました。この変化は、日本の航空機産業にも変革を求めるかもしれません。
そもそも「機数が足らなかった」?
陸上自衛隊の攻撃ヘリと観測ヘリは、2022年12月に閣議決定された「防衛力整備計画」により、これから用途廃止が進みます。役目を無人機に譲るこの変化は、日本の航空機産業にも変革を求めるかもしれません。
「防衛力整備計画」ではOH-1「ニンジャ」とともに、対戦車(AH-1S「コブラ」)、戦闘ヘリコプター(AH-64D「アパッチ・ロングボウ」)を用途廃止するという趣旨の記載があります。
AH-1「コブラ」はベトナム戦争をきっかけに登場し、攻撃ヘリの有効性を示しました。日本はライセンス生産も合わせて90機をそろえ今も現役です。AH-64D「アパッチ・ロングボウ」はAH-1「コブラ」の後継として13機が調達されました。観測ヘリOH-1「ニンジャ」は、機体もエンジンも国内開発され38機がつくられています。
ウクライナ侵攻で分かった通り、近年は携帯型対空ミサイルの性能が上がり、低空攻撃を強いられる攻撃ヘリへの脅威は高まっていました。対する無人機は、高い高度から攻撃や観測が可能です。そこで「防衛力整備計画」では、上記の3タイプのヘリの用途を廃止し、この役割を無人機(ドローン)が担うということになっています。
ただ今回の方針転換の背景には、この戦闘スタイルの変化に加え、AH-64D「アパッチ・ロングボウ」とOH-1「ニンジャ」が、当初の計画どおりに調達自体がうまくいかなかった――というのもあるかもしれません。
防衛省は2001年にライセンス生産も含めて、AH-64Dの62機の導入を決めました。しかし、米国での生産中止により1機あたりの機体価格が約20億円高騰し、2008年に13機で調達を打ち切っています。1996年に初飛行したOH-1は防衛大綱の見直しなどにより、当初の250機から大幅に減った38機で生産を終えています。
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