京成の踏切に謎のQRコード 読み取ってみると…実は「開かずの踏切」対策
急いでいる時こそどちらが早いか判断を
京成電鉄は待ち時間が長い踏切に対し、駅の自由通路を使って迂回することも呼びかけています。迂回には時間も労力もかかりますが、それでも時間帯によっては待つよりも早く移動できる場合があるため、踏切でも運行情報が確認できるようにQRコードを掲出しているのです。
その背景には、沿線にいまだ多くの踏切が残っていることがあるでしょう。本来ならば立体交差化により、踏切を除却することが望ましいですが、それには費用と時間がかかります。筆者(小川裕夫:フリーランスライター・カメラマン)は全国の踏切を観察していますが、踏切にまでQRコードの掲出している鉄道会社は珍しいと感じます。
いくら鉄道会社が盛んに情報を提供していても、誰もがアクセスできる環境が整っていなければ意味がありません。すぐに遮断機が上がるのか、それとも自由通路を使って迂回した方が早いのか――京成電鉄はその判断材料を提供しています。
地味な取り組みに見えるかもしれませんが、事故を防止することにつながります。安心・安全のために、鉄道各社の試行錯誤は続きます。
【了】
Writer: 小川裕夫(フリーランスライター・カメラマン)
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。官邸で実施される首相会見には、唯一のフリーランスカメラマンとしても参加。著書『踏切天国』(秀和システム)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)、『東京王』(ぶんか社)、『私鉄特急の謎』(イースト新書Q)など。
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