「最後のガンファイター」も脚色? 『エリア88』の戦闘機F-8クルセイダー 数々のアツい描写 実際のトコロは?

フィリピン空軍で野晒しの機体も有効活用

 F-8「クルセイダー」のアメリカ軍での運用は1976年まで続けられ、その偵察型であるRF-8はさらに長く1987年まで使われました。

 海外の運用国としては、フランス海軍がクレマンソー級空母用の艦載機として小改修を加えたF-8E(FN)型を使っていましたが、2000年までに空母「クレマンソー」と「フォッシュ」が相次いで退役したことで運用を終えています。

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アメリカ海軍の空母「アイゼンハワー」に着艦したフランス海軍のF-8E「クルセイダー」戦闘機(画像:アメリカ海軍)。

 フィリピン空軍も1977年からアメリカで保管されていた35機のF-8Hを中古で購入して運用していましたが、パーツ不足と機体疲労によって1980年代後半にはその大半が飛行不能となり、1991年の同国のピナツボ山大噴火の影響で残りの機体も被災したため、同年に完全退役しています。

 ただ、フィリピン空軍のF-8については、のちに面白いエピソードを持っています。前述のように同空軍で飛行不能となったF-8はそのまま基地内で野晒し放置されていたため、それを先ほど紹介した映画「13デイズ」の制作陣が目を付け、フィリピン政府から撮影のために借り受けて再利用しています。

 そのため、劇中でキーウェスト基地となっているのは、実はフィリピンのクラーク空軍基地だったとか。

 戦闘機には、それぞれ歴史があり、いろいろな形で小ネタを含んでいることが多々あります。F-8についても同様で、ここまで記したように開発経緯、実戦参加と運用で象徴的な出来事を数多く持っている機体でもあります。

 加えて、エンタメ作品での露出もF-14「トムキャット」やF-4「ファントムII」ほどではないものの、相応にあることから、F-8「クルセイダー」が日本でも比較的知名度が高い機体となったのは、ある意味必然だったといえるのかもしれません。

【了】

【飛行シーンも】空母「ミッドウェイ」博物館で展示されるF-8「クルセイダー」をグルリと見る

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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