少し繋げるだけ!首都圏「新たな直通線」可能性は? ずーっと棚上げの「地下鉄乗り入れ」過去路線の"復活"も

一応線路はつながってるのに…使わないのはもったいない!

 すぐ近くで並行する2路線を「ちょっとした」短絡線でつなげて、劇的な交通ネットワーク効果を希望する声も長年上がっています。なお、見出しの路線の名称は便宜的なものです。

●「武蔵野東海道ライン」

 武蔵野線は府中本町駅からさらに南下し、貨物専用線の通称「武蔵野南線」として長いトンネルに入り、南武線と並行するように川崎市へ向かっています。横須賀線の武蔵小杉駅南側で地上に出ると、そのまま横須賀線・東海道線と並行します。

現在はレジャー期に運行する臨時特急「鎌倉」が吉川美南~鎌倉で走るのみで、まさに「幻の鉄道路線」という存在です。

 もしこのルートに定期列車を走らせ、さらに途中駅を設ければ、慢性的に混雑する南武線の高速バイパス路線として機能するほか、先述のルートと同じく「南武線~横浜直結」が実現します。

 この計画は古くから構想され、国の「答申」にもリストアップされていた時期がありましたが、運行頻度の高い貨物列車との共存が難しいことや、長大トンネル内で駅の設置が難しかったことから実現しませんでした。代わりに川崎市による「川崎縦貫鉄道」構想が立ち上がりましたがこちらも実現には至っておらず、現在進行中の横浜市営地下鉄ブルーラインの新百合ヶ丘延伸がその機能の一部を担っています。
 
●「常磐新宿ライン」

 常磐線は三河島駅を発車すると鋭角ターンで日暮里駅へ向かうルートとなっています。もしターンせずにそのまままっすぐ進むと田端駅があるので、そこから湘南新宿ラインに合流すれば、念願の「常磐線で池袋・新宿・渋谷、さらにお台場方面へ直結」が実現しそうです。

 実はこの線路は実際に存在し、貨物列車の短絡線として現役です。イベント列車ではテッパンともいえるルートで、大宮~田端~新松戸~府中本町など、短絡線を駆使したアクロバティックな列車運行が楽しめます。そもそもこの三河島~田端の短絡線は常磐線の黎明期の正式ルートで、短期間ながら田端でスイッチバックが行われていました。

 つまり「常磐新宿ライン」も、今ある線路をほぼ活用すれば、わずかな立体交差の設置で物理的につながってしまう状態です。とはいえ自治体が公式に提唱する動きは見られず、茨城県議会でも最近話し合われた形跡は特にありません。もっとも、常磐線の品川乗り入れ自体、宇都宮線と高崎線の列車が湘南新宿ラインへ流れたことで実現した背景もあり、そこに常磐線のダイヤが入っていくのは難しそうです。

【地図】常磐線が新宿直通!? 首都圏「夢の短絡線」5ルートを見る

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コメント

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3件のコメント

  1. 「武蔵野・南武」直通線
    ではなく「横須賀・南武」では?

    最近の記事で誤記が多いと思います

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

  2. 常磐線の短絡ルートが本来の常磐線のルートです。
    もともと、東海道方面と常磐方面をつなぐために開通したのが山手線の池袋-田端間で、
    開業時のルートである現在の山手貨物線の駒込ー田端間にあったトンネルで結ばれていました。