ANA入りでやっと羽ばたく? 日本貨物航空「NCA」多難の半世紀 海運業界とJALのはざまで

日本唯一の国際線航空貨物の専門会社NCA(日本貨物航空)がANAホールディングスの子会社になります。実はNCA、会社創設までも紆余曲折あった「難産の子」でもあったとか。その波乱万丈の社歴を振り返ります。

アジアに強いANA+欧米に強いNCA=その結果は?

 しかし、NCAは機材の故障や航空貨物輸送の競争激化、さらには世界金融危機、いわゆる「リーマンショック」に端を発した貨物取扱量の減少といった荒波の直撃を受け、業績低迷を続けることになります。新鋭機としてボーイング747-8Fを導入するなど明るい話題もあったものの、収支の改善とNCAの処遇は経営課題として日本郵船にのしかかります。一時はJALと航空貨物事業を統合するなどという話もあったものの、これは互いの意見が折り合わず、とん挫します。

 こうした中、2018年にNCAはANAとの間で戦略的業務提携を結び、機体整備やコードシェアなどを通じて再び関係を深めていきました。

 その結果が、冒頭に記したNCAのANAホールディングス入りだったのです。発表は2023年3月7日でしたが、株式取得の実行日は2023年10月1日もしくは両社が別途合意した日とされました。

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NCAのボーイング747-8F貨物機(深水千翔撮影)。

 これによりANAホールディングスはNCAを航空事業ポートフォリオに加えると同時に、日本最大の国際線旅客便ネットワークを活用する同社グループの貨物事業と将来的に統合・再編することで、貨物専用機と旅客機双方の強みを補完し合うコンビネーションキャリアとして収益性を高め、成長戦略を加速させていく方針だとか。

 2023年3月現在、ANAホールディングスが保有しANAカーゴが運航するフレイター(貨物機)はボーイング777F型2機とボーイング767F型9機の計11機。一方、NCAが保有するフレイターはボーイング747-8F型8機と他社へリースしているボーイング747-400F型7機の計15機です。

 一方でJALは13年ぶりにフレイターを導入することを決めました。同社は2010年の経営破綻に伴ってフレイター事業から撤退していましたが、2023年5月2日に自社保有のボーイング767-300ER型機を貨物専用機に改修すると発表。2023年度末から東アジアを中心とした国際線に投入し、将来的には国内線にも投入するとしています。

 JALはヤマトホールディングスと提携し、2024年4月から国内でエアバスA321ceoP2F型貨物機の運航を始めます。今回導入を決めた767型貨物機もヤマトと連携する予定で、eコマース(電子商取引)や宅配など高い成長が見込まれる貨物の輸送需要を取り込むため、さらなる輸送力の強化に踏み切った形になります。

 アジア路線に強みを持つANAホールディングスは、NCAを子会社化したことで同社が持つ欧米路線を取り込むことに成功しました。これにより、同ホールディングスは世界的な航空貨物輸送ネットワークの構築へ踏み出そうとしています。そしてライバルのJALもヤマトと連携しながら貨物専用機事業に舞い戻ってきました。コロナ禍後の航空業界は、旅客と貨物双方を生かした新しいステージに突入します。

【了】

【将来的には同じ塗装に?】ANAカーゴの貨物機全機種をイッキ見!

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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